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アーバンコーポレイション集団訴訟手続に関する説明書
平成20年9月21日
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平成20年9月27日
アーバンコーポレイション株主被害弁護団説明会のお知らせ
第1 はじめに
今般、株式会社アーバンコーポレイション(以下、「アーバンコーポレイション」)の破綻に関して損害賠償請求等の手続を採ることを検討したいとの問い合わせが多数寄せられたことから、当職らは、集団的に損害賠償請求等手続を受任して追行することとし、事案に対する考え方の概要、受任する手続の範囲、委任を受ける方法等について、以下のとおり説明することとします。
なお、本書面は不特定多数者が閲覧可能であることから、必ずしも詳細な判断を明示していません。また、本件について初めて問い合わせがあったのが9月9日であり、以下は同日以降に検討した結果に基づく方針ですので、今後の資料の精査や状況の変更によって方針は随時変更される可能性があります。
第2 前提状況
1
アーバンコーポレイションは、平成20年6月26日付臨時報告書において、BNP Paribas S.A.(以下、「BNPパリバ」)に対して新株予約権付社債(以下、「本件CB債」)を300億円で発行し、この300億円は「短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定」と報告、発表し、その後、同年7月11日には予定通りBNPパリバから300億円が支払われたと発表した。
これによってアーバンコーポレイションは当面の資金繰りができ、課題であった財務体質の強化が一歩前進したと受け止められた。
2
ところが、同年8月13日、同社は上記同年6月26日付の臨時報告書の訂正報告書を提出し、本件CB債の手取金の使途を「財務基盤の安定確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用」から「割当先との間で締結するスワップ契約に基づく割当先への支払に一旦充当し、同スワップ契約に基づく受領金を財務基盤の安定確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用」に訂正すると報告、発表し、実際には300億円の資金調達ができていなかったことを明らかにし、併せて東京地方裁判所に民事再生手続の開始を求めた。
3
翌同年8月14日に公表された同社の四半期報告書によると、同スワップ契約に基づき元本300億円から営業日毎にCB債転換価格(344円)と対象株数の積算分が減額され、一方BNPパリバは各営業日毎の株価に連動する一定の計算式で算出される金額をアーバンコーポレイションに支払うが、株価が予め定められた下限価格を下回ると支払われない旨定められていた。
同年8月18日に開催された債権者説明会において、BNPパリバからアーバンコーポレイションに実際に入金があったのはわずか92億円であり、一方スワップ契約が解約になったことによりアーバンコーポレイションには58億円の損失が発生していると発表された。
4
アーバンコーポレイションは同年8月18日午後5時付で東京地方裁判所から民事再生手続開始決定を受けた。
5
アーバンコーポレイションの株価は、同年8月13日には62円(同日終値)であったが、上記訂正報告書が公表された翌日から急激に下落し、一気に6円にまで下落し、上場廃止前には1円での取引も成立しない状況になった。
6
アーバンコーポレイションの株式を取得した者は下記のとおり同社に対して損害賠償請求権を有する可能性があるが、上記民事再生手続においては株式取得者に対しては再生債権届出書が送付されず(なお、同社に対して問い合わせをした者に対しても再生債権を有しないとして届出書の送付を断るという対応がなされていたようである。)、同年9月17日の期限までに再生債権の届け出をした者は極めて少数であると考えられる。
7
東京証券取引所が同年9月12日付けで、アーバンコーポレイションが同年6月26日付で行った「2010年満期転換社債型新株予約権付社債の発行(第三者割当)のお知らせ」は不適正開示であるとの判断を示しているほか、様々な観点から問題が指摘され、小規模株主から損害賠償等を求める声が強くなっている。
第3 法的評価
本件によって損害を被った者の被害回復手続を検討するにあたっては、どのような行為がどの法律のどの条項に抵触するか、損害賠償責任を負うのは誰か、再生債権届出との関係で予想される手続と被害回復手続における位置付け、請求しうる損害の範囲、因果関係及びこれらの立証可能性などが検討されなければならないところ、当職らは、アーバンコーポレイションの本件臨時報告書の記載は、本件CB債の発行とスワップ契約の一体性及び重要性、本件CB債の手取金300億円の実際の使途からして、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているものであって、金融商品取引法(以下、「金商法」)に違反し、私法上も違法であると考える。
1 アーバンコーポレイションに対する損害賠償請求権と民事再生との関係
(1)金商法21条の2第1項は、大要、「(金商法)第25条第1項各号に掲げる書類(注:臨時報告書はこれに含まれる。)のうちに、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の記載が欠けているときは、当該書類の提出者は、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されている間に当該書類の提出者が発行者である有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対し、第19条第1項の規定の例により算出した額を超えない限度(注:取得額から処分推定価格ないし処分した場合は実際の処分価格を減じた金額)において、記載が虚偽であり、又は欠けていることにより生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と規定している(なお、同条の責任については、金商法上、損害の推定に関する明示の規定(同条2項)がある。)。
したがって、少なくとも、アーバンコーポレイションの株式を、平成20年6月27日以後(26日を含まない。以下同)に取得し、同年8月13日後にも保持していた者(同年8月14日以降に売却した者を含む。)は、同条に基づいてアーバンコーポレイションに対して損害賠償請求権を有し、これは再生債権となるべきものと考えられる。
(2)株主にアーバンコーポレイションに対する損害賠償請求権があるとしても、同社については民事再生手続が開始されており、再生手続きの中で完全な満足を得ることが出来る可能性は低いと考えられる。ただ、再生計画案の可決には「債権者集会に出席した議決権者の頭数の過半数の同意」が要件とされている(民事再生法172条の3第1項)ことから、多くの損害賠償請求権が再生債権として認められれば再生手続きに対する影響力を有することとなりうる。
(3)ところで、本件再生手続については再生債権届出期限が平成20年9月17日とされているが、株主に対しては、再生債権届出の用紙が送付されるなどはされておらず、再生債権の届出がなされているのは少数にとどまっているものと予想される。しかし、上記のとおり再生債権者として再生手続にも関与することが望ましいことから、債権届けを追完するべきである(民事再生法95条1項は、再生債権者がその責めに帰することが出来ない事由によって届出が出来なかった場合には、その事由消滅後1か月以内に届出の追完ができると規定している。)。
(4)届出債権は、アーバンコーポレイションによって「認めない」と認否されるものと予想され、その後の査定の申立によっても再生債権として認められない場合、結局、査定異議の訴えを提起することによって再生債権とするべきことを求めることになると予想される。査定異議審は、時期の前後によっては、アーバンコーポレイションの役員らに対する損害賠償請求訴訟における争点についての判断が先行して下されることになる可能性もあり、重要な位置付けを有するものであると考える。
2 アーバンコーポレイションの役員らに対する損害賠償請求権
(1)金商法24条の5第5項、同法22条、同法21条は、大要、「有価証券報告書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、当該有価証券届出書を提出した会社のその提出の時における役員は、当該記載が虚偽であり又は欠けていることを知らないで、当該有価証券届出書の届出者が発行者である有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対し、記載が虚偽であり、又は欠けていることにより生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と規定している。したがって、少なくとも、アーバンコーポレイションの株式を平成20年6月27日以後に取得し、同年8月13日後にも保持していた者(同年8月14日以降に売却した者を含む。)は、同条に基づいてアーバンコーポレイションの同年6月26日時点の役員(取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又はこれらに準ずる者)に対して損害賠償請求をすることができるものと考える。
(2)ところで、金商法22条に基づく責任は、金商法21条の2第2項を準用していないから、損害の推定に関する明示的な規定はない。
しかしながら、金商法の損害賠償責任に関する規定は民法の不法行為法の特則であると考えられるところ、アーバンコーポレイションの不法行為責任と同社の役員らの不法行為責任ないし会社法429条1項に基づく責任は不真正連帯の関係に立つ責任であると解され、損害の算定がばらばらになされることには違和感がある上、虚偽記載ないし重要事実の記載の欠缺があった場合の立証の困難を回避させるという金商法21条の2第2項の趣旨は同じく妥当するべきものであるから、損害が生じた場合において損害の性質上その額を立証することが極めて困難な場合には裁判所は相当な損害額を認定できるとする民事訴訟法248条の解釈において金商法の趣旨を取り込むなどの方法により、立証の困難の低減が図られるべきであると主張するべきであると考える。
3 BNPパリバの損害賠償責任
BNPパリバは、金商法の開示義務の主体ではないが、関与の程度・態様によっては、アーバンコーポレイション及び同社の役員らと共同不法行為責任を負う可能性がある(なお、BNPパリバからアーバンコーポレイションに対して本件虚偽記載ないし重要事実の不記載を強く求められた旨の報道がなされているところである。)。また、BNPパリバがインサイダー取引を行っていたと仮定すれば、これを知らない一般株主に対して不法行為責任を負うことになるとも考えられないではない。
もっとも、現段階で、BNPパリバに対する損害賠償請求をすることは、争点を極めて複雑にし、訴訟の進行を阻害する危険性がある。アーバンコーポレイションの役員らに対する損害賠償請求によっても損害が回復し得ない可能性が高いとは考えないから、現段階で損害賠償請求の相手方とはしないこととする。
4 小括
以上検討したところから、上記関与者にいずれも法的責任がある可能性があるが、手続の迅速などの現実の損害回復という観点からの要請を総合的に考慮し、(1)@アーバンコーポレイションに対する再生債権の届出、A査定の申立、B査定異議訴訟、
(2)@アーバンコーポレイションの役員ら(平成20年6月26日時点取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又はこれに準じる者)に対する損害賠償請求訴訟、を受任することとする。
損害賠償請求の訴えは、本年10月にも行う予定である。手続にはおよそ2年程度を要すると見込まれる(より早期に解決する可能性もあるが、訴訟の帰趨を見て(勝訴して回収ができたなどの報告がなされるなどしたときに)手続を採りたいと考える者がないではないことは相手方らにおいても予測し、社会的関心や被害感情の低下、法律上の責任の消滅期間などに慎重な配慮をするものと考えられることから、おおよその決着がつくには、相当の期間を要するものと考えられる。)。
上記のとおり、今回の集団訴訟は、アーバンコーポレイションの株式を、平成20年6月27日以後(26日を含まない。)に取得し、同年8月13日後も保持していた株主(同年8月14日以後処分した者を含む)者を対象とすることとする。この点、上記に該当しない、平成20年6月26日以前にアーバンコーポレイションの株式を取得し、同年8月13日後も保持していた株主についても、金商法の継続開示の趣旨(金商法は、取得済みの当該金融商品を持ち続ける否かの判断に資するためにも、最も情報を持つ主体による開示が必要であり、かつそれが正確かつ十分であることを要求している。)からして、共同不法行為(民法719条1項)、会社法429条1項に基づく損害賠償請求を行い得る余地はあると考えられる。これらの株主については、訴訟の進行と証拠資料の収集等を踏まえて、今後も検討をしていくこととするが、現段階においては本件集団訴訟の参加者とはしないこととする。
第4 損害の算定
現段階では、被害の最大回復の観点から、下記第1項の考え方での請求を行う予定であるが、損害額の算定には様々な考えがあり得る。
1 請求の最大額
請求可能な賠償額は、理論上、記載が虚偽であり、又は欠けていることにより生じた損害である。本件の場合、上記の平成20年6月27日以後に取得した株主については、記載の虚偽又は重要な事実の記載の欠缺がなければ、当該株式を購入することはそもそもなかったといえる(もっともその場合でも損益相殺の問題は残る。)。そして、アーバンコーポレイションの現在価値は最終取引日の価格を基準にすると1円であるということになるから(もっとも純資産価額等で鑑定した場合の評価は不明。)、「取得時支払価格−1円」×株数(信用取引による買い付けでも同様。)を請求することとなる。これが請求する損害の最大値(なお、弁護士費用相当損害金及び遅延損害金は通例に倣って請求する。精神的苦痛についての慰謝料請求はしない。)となる。
訂正報告書が提出された後である8月14日以降に売却した者については、損害額は、取得価格と(実際の)売却価格との差額ということになる。
2 損害の推定規定
損害の算定については、金商法上に推定規定があり(21条の2第2項)、同項は、「当該虚偽記載等の事実の公表がされた日(以下この項において「公表日」という。)前一年以内に当該有価証券を取得し、当該公表日において引き続き当該有価証券を所有する者は、当該公表日前一月間の当該有価証券の市場価額(市場価額がないときは、処分推定価額。以下この項において同じ。)の平均額から当該公表日後一月間の当該有価証券の市場価額の平均額を控除した額を、当該書類の虚偽記載等により生じた損害の額とすることができる。」と規定している。
同規定によって推定される損害は、本件公表がなされた8月13日以前(「前」というのは同日を含まない概念であるが、同条の趣旨に照らし、取引所における取引が終了した後で虚偽記載等の事実が公表された場合には当該日を含めて計算するのが適切であると考える。)の1か月間の日々の株価に出来高を乗じた価格を出来高総数で除して算出した出来高加重平均株価123.92円と、8月14日以後上場廃止となった9月12日までの期間について同様の方法によって算出した出来高加重平均株価4.445円との差額119.475円となる(なお、上記期間中の日々の株価を単純に平均するという算定方法による平均株価は、それぞれ133.5円、4.18円であり、その差額は129.31円となるが、同条項の趣旨からすれば、むしろ、加重平均株価をいうものと解するのが適切であると考える。)。
なお、同条項は、取締役に対する請求について準用されていないこと、しかしながら同様の考え方を採用するべきであると考えることは上記のとおりである。
3 公表直前の価格
平成20年8月13日の終値である62円に至るまでは、虚偽記載等と因果関係がないという考え方もあり得、このときには損害賠償請求権の金額は「62円−1円(もしくは現実の処分価格)」×株数となる。
第5 受任手続
1
受任手続に必要な書類の送付を求める場合には、手続の煩を避けるため、140円切手を貼付し、返送先住所、氏名を明記したA4サイズの返送用封筒(角型2号)を同封して、頭書法律事務所(
〒105−0001 東京都港区虎ノ門1丁目19番5号虎ノ門1丁目森ビル2階 あおい法律事務所
)宛に郵送する方法によって行っていただき、追って、必要書面を返送する方法で行う。参加申込は、手続の迅速が必要であることから
10月10日を期限とする
こととする。
原告団には、弁護団との適切な信頼関係を構築し、手続の充実と迅速のために可能な限りの協力をされることを求めたい。集団的に手続を行うことから、各原告が格別に行わなければならない負担は小さいものと思われるが、やはり、当事者としての相応の関心を持っていただくことを期待する。
第2陣の受付は行うことになると思われるが、受任の条件は異なることがありうる。また、時機の遅れによる不利益が生じる可能性がある。なお、上記の諸事情に照らし、第2陣後の受任は現段階では予定していない。
2
着手金(手続の帰趨のいかんに関わらず返還しない弁護士費用)金額(実費を含む)、報酬金((どの手続によって被害回復がなされたかを問わず)被害回復を得ることができた場合にその金額に応じて支払う弁護士費用)金額は、複数の要望があったことから、以下の2とおりの選択制を採用することとし、手続の煩瑣を避ける必要性も高いことから、一律に1株あたり62円を基礎として以下のとおり算定する金額とする。
なお、敗訴した場合に訴訟費用は敗訴者に負担させられるが、訴訟費用には弁護士費用は含まれないので、敗訴した場合にも相手方らの弁護士費用を負担する必要はなく、追加で出捐を必要とするような事態になるとは考えられない。
@着手金:(62円×株数×5.25パーセント)+2万円
報酬金:回復金額の10.5パーセント
A着手金:(62円×株数×2.1パーセント)+2万円
報酬金:回復金額の16.8パーセント
※@、A共に消費税込
3
集団的に手続を採るものであるから、統一的な意思決定が不可欠であり、各依頼者の個別の要望には必ずしも添えないことがある(和解をするときの水準について意見が分かれることが予想されるが、参加者の多数の意見と弁護団の検討の結果によって統一的に対処する。一部のみ和解をし、一部は訴訟を継続するということは相手方らが応じない可能性が高く、そのような場合には必ずしも意に添わない解決となることもあり得ることを十分に理解していただく必要がある。)。
受任手続後には原告団にのみアクセスすることが可能なホームページを設置するなどして、迅速な意思疎通を図ることとしたい。
4
さらに説明を尽くすため、平成20年10月4日に都内で(場所は未定である)午後1時30分から説明会を開催することとする。場所の都合等もあるので、参加を希望される方は、
urban_bengodan@aoi-law.com
宛てに都道府県及び氏名、8月13日時点で持ち越した株数を記載して参加の意向を示されたい(なお、同メールは参加の意向を把握するためだけのものであり、個別の質問事項等に答えることは困難である。)。
以上。