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 被害者が一定数集まった「被害者の会」などが組織されている場合には、集団的に手続を行う例がある。情報を集約することができる、統一的に迅速な手続を採ることができる、手続選択可能性が拡がるなどのメリットがある反面、個別の被害者の意向に必ずしも添うことができないなどのデメリットがある。
 当職が行った主な集団的訴訟事件には、以下のようなものがある。


1 レフコ事件

【相手方業者】
米レフコ・アソシエイツ・エルエルシー、REFCOFX JAPAN株式会社、NDCオンライン株式会社、その役員ら
【事案の概要】
平成17年10月に米レフコグループが破綻(同年8月に上場した世界第4位の証券先物グループ。かつてCEOであったフィリップ・ベネットが巨額の横領をしていたことが発覚し、平成17年10月17日に米国連邦倒産法第11章の適用申請)し、グループFX業者も破綻した。ホームページでは証拠金が分別管理されており、レフコの倒産に耐えうるかのような記載がなされていたが、チャプターイレブンにより凍結され、証拠金は当初、10数パーセントが配当されるのみであるとされた。わが国の被害は、証拠金残額で40億円程度であったようである。
日本で米レフコの取引の媒介業務を行っていたのは、REFCOFX JAPAN、NDCオンラインなどであった。REFCOFX JAPANは米レフコFXの証拠金管理をしていたようであり、香港上海銀行東京支店の口座に、REFCOFX JAPAN名義で巨額の証拠金相当当座預金があった。
平成18年6月から、順次、53自然人及び2法人から委任を受け(係争金額合計17億円程度)、同月から、4次にわたって30数件の仮差押手続きを行い(REFCO FXの口座、NDCオンラインの口座。被保全権利の構成は不法行為、共同不法行為)、3次にわたって、業者、取締役ら(米国人2人を含む)に対して損害賠償請求訴訟を提起した。損害賠償請求は、当初は不法行為構成であったが、相手方の認否を待って、不法行為の特則である金融商品販売法の信用リスクに関する説明義務違反に基づく請求に絞り、立証の容易と審理の迅速を図った。
相手方は、米国において預金帰属等に関する訴訟を提起(平成18年10月12日)し、仮差押の効果を争う第三者異議の訴えを提起(平成18年11月8日)するなどした。
【争点】
分別管理の有無、その説明の有無、説明の適否、損害発生の有無、因果関係、関係会社の「媒介業者」性、信託契約の成否、当座預金の帰属、過失相殺など
【結果】
平成19年2月から、訴訟外で一部当事者について和解が成立し(証拠金残の57.5パーセントの支払い)、平成19年6月に本案訴訟が最も進行していた第1次訴訟の民事16部で訴訟上の和解が成立し、同和解の中で全被害者を利害関係人として参加させて最後まで戦った12人の被害者について一括解決した。和解内容は、REFCOFX JAPAN関係被害者は証拠金残の70パーセント、NDCオンライン関係被害者は証拠金残75パーセントの支払いを受けるというものであった。
【意義】
最後まで訴訟手続を行った被害者は、REFCOFX JAPAN株式会社経由の被害者は証拠金の70パーセント、NDCオンライン経由の被害者は証拠金の75パーセントを回復できることになり、当初証拠金の10数パーセントしか戻らないのではないかと観測されていたのと比べると、大きな成果である。また、今回の手続に参加した者によって日本の会社の名義で香港上海銀行の当座預金を仮差押したことで、米レフコグループの破綻に関する問題について、日本人顧客を無視又は軽視することができなくなり、最終的に日本顧客のほとんど全員が相当額の返還をうけることができたという副次的メリットを生じさせることができたとも考えられる。より広くいえば、海外の大手FX業者であっても、そして、分別管理がされているといわれていても、破綻に伴うリスクがついて回るということが強く意識されるようになり、FX業者が信託保全の方法を採用し、その旨広告することが格段に増えていく契機となった。実務的には、金融商品販売法の積極的利用が試みられたということも特筆されて良い。訴訟進行は、比較的スムーズに行われたと感じられ、それは、法律構成の選択にも拠るものと考えられる。FX取引業者には信託保全を強制するべきであるが、信託保全の義務化によっても、業者の破綻による証拠金の欠損のリスクはなくならない。信託の更新頻度が日次でされても、レバレッジが数100倍の取引が自己取引(カバー取引を含む)としてされているのでは、証拠金欠損は日常的に起こりうる。分別管理の方法を改めると同時に、レバレッジ規制を行うことが不可欠であると考える。


2 スターレイズ事件

【相手方業者】
グランドヴィジョン株式会社(スターレイズキャピタル株式会社)、その役員ら8名
【事案の概要】
従業員にマインドコントロールのような研修を受けさせ、虚偽の情報を告げてする未公開株式の販売を親族・友人知人に次々に行わせた被害群。
平成18年6月から、順次、80名から委任を受け、同年7月3日に未公開株商法会社及びその幹部構成員8名に対して訴えを提起した。予め立証のほとんどを準備して訴えを提起したが、相手方は一応は応訴をするものの、代理人弁護士を通じて和解の申し入れがあり、同年9月6日には訴訟上の和解が成立した。和解内容は、未返還交付金額の97%の支払を分割で受けるというものであった。
途中で支払が滞ったため、取締役に対する債権者破産の申立てをするなどした。全額の支払を得ることはできなかった(現在も債務名義を有しているから、8年ほど経ってから再度強制執行等を試みるということも可能である。)とはいえ、満足するべき相当な割合の支払を受けることができたのは、手続の迅速によるところが大きいと考えられる。
なお、訴訟上の和解にあたっては、複数人の複数人に対する債権について、執行の便宜のために1人でも全部執行できることにしたいという要請と特定人が支払を受ける(あるいは受けたと偽る)ことによる債権の消滅を避ける必要性を両立させるよう配意した。


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