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未公開株商法

1 未公開株詐欺商法は数年前から増加の傾向を見せ始め、平成17年7月1日の金融先物取引法改正法の施行、これを受けた金融庁、財務局の行政処分により、いわゆる独立系外国為替証拠金取引業者が廃業に追い込まれた結果、平成17年夏ころからその被害の報告が急激に増加している。東京都消費生活総合センターは、平成17年10月26日付で「緊急消費者被害情報」として「本当に上場されるの?「あやしい未公開株」勧誘にご注意!!」と題する警告を出し、金融庁は、平成17年11月29日付で「「未公開株購入の勧誘にご注意!〜一般投資家への注意喚起」について」と題する警告を出し、日本証券業協会、東京証券取引所なども同様の注意喚起をなしている。また、近時、ようやく刑事摘発もしばしばなされるようになってきている。


2 株式取引は、それが売買であろうと仲介であろうと、対象が上場株式であろうと未上場株式であろうと、営業として行うためには証券会社登録を要する。未公開株商法は、証券業(その定義は証券取引法2条8項)を内閣総理大臣の登録を受けることなくする無登録営業であって、法28条に反する(法198条11号により、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金刑、又はこれらの併科)。


3 未公開株式については、真っ当な証券会社(登録を得た通常の証券会社)であっても、いわゆる「グリーンシート銘柄」を除き、その取引を勧誘することが原則として禁じられている(日本証券業協会の自主規制規則である「店頭有価証券に関する規則」(「協会員の有価証券の売買その他の取引等に関する公正な慣習を促進して不公正な取引を防止し、取引の信義則を助長するために定める規則」第1号(公正慣習規則)と略称される)第3条、第4条、第6条、同自主規制規則「グリーンシート銘柄に関する規則」(公正慣習規則第2号))。

 グリーンシート銘柄に関する規制(上記「グリーンシート銘柄に関する規則」、「グリーンシート銘柄の発行会社等における会社情報等の本協会への報告に関する催促」。銘柄指定、情報開示、取引の報告等に関する規定)を概観すれば、上記のようなグリーンシート銘柄でない未公開株式の勧誘の原則的禁止は、証券取引所に上場されていない株式はその価値の評価が極めて困難であり、公開される情報も少なく、一般投資家が当該会社の情報に接することも困難であることから、そのような困難を一定程度解消しうる手当てをしたグリーンシート銘柄以外の取扱を禁止することによって、一般投資家が不測の損害を被ることがないようにする趣旨であると解される。

 しかし、未公開株商法に用いられる「銘柄」は、いわゆるグリーンシート銘柄ではないものが圧倒的に多い。その結果、一般投資家にとっては適正価格がわからず、不測の損害を被る危険性が高い。

 当職が受任した事案の中には、(幸か不幸か)購入させられた銘柄のうち1つの銘柄が上場されたことから、売買価格が著しく高額であったことを客観的かつ容易に基礎付けることができたものがある(被害者はアース製薬株式会社株を1株8万円で購入させられていたが、平成17年11月30日に同社株が東京証券取引所に上場されたところ、公募価格は2000円であり、上場初値は3000円であった。)。
未公開株商法は、仮にそのような商法が真っ当なものとして成り立ちうるとした場合には、「上場するかどうかは分からないが、上場すれば大きな利益が得られる」という取引として(もちろん、証券会社登録を得、グリーンシート銘柄としての手当てをされたものに限られるが)であろうが、上記のように、「運よく上場しても何10倍もの割高」の価格で売りつけられているのである。

 かつての原野商法同様、この1点のみからでも、この種商法は暴利行為として公序良俗に反すると考えられるものが圧倒的多数である。


4 縁故販売、投資事業有限責任組合・民法上の組合等
 上記2記載の証券取引法違反を形式的に免れているかのような外観を作出するため、業者が、縁故者にのみ販売したと強弁することがある。しかし、パンフレットや「チラシ」その他販売用の制作物を用いていることからすれば、「営業として」取引が行われていることは明らかな事例が多い。

 また、組合への加入という形態を採用して証券取引法を形式的には免れようとする業者も少なくないが、パンフレットやチラシ、預り証その他の記載から、その実質が未公開株式の取引そのものであると見ることができるものがほとんどである。あえていえば、消費者の側から見てみたときに、未公開株の相対取引によって購入する代わりに、組合に加入することに経済的優位性を見いだすことも困難である。

5 なお、いわゆる集団的投資スキームは、平成18年証券取引法改正法により、網羅的に同法の規制対象下に置かれることになり、この種商法はその施行とともに消滅するものと期待されるが、現実の被害回復は一層困難を増すことが危惧される。