商品先物,海外先物,オプション,外国為替証拠金取引,未公開株,消費者金融等の被害事案を扱う弁護士のホームページ

 
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1 被害の実情

 高齢者に対する悪質な金融商品取引被害、金融商品まがい取引被害は多い。商品先物取引、海外先物取引、海外先物オプション取引、外国為替証拠金取引、未公開株商法、ニッパチ商法、出資法違反商法など、被害は悪質商法全般に見られる。担当した特徴的事案としては、以下のようなものがある。

@ 一人暮らしの高度の認知障害のある高齢者が10日間で6000万円を海外先物オプション取引名目で奪われて手数料として「消されて」いた事案(銀行からの通告によって被害が発覚した。6600万円の賠償を得て解決した。)

A 高齢者2人の姉弟(姉はお人好しでこの種被害に次々と巻き込まれ、弟は1日に15種類の薬を服用して外出もままならない状況にありながら被害に遭った)方に4つの業者が上がり込んで、先物取引、外国為替証拠金取引によって合計1億円強の金を奪った事案(関連判決東京地判平成17年10月17日判例時報1951号82頁。先物取引については実損害6000万円に700万円の弁護士費用を加算して賠償する旨の訴訟上の和解が成立し、FX業者の一つについては損害の全部の任意の賠償を得、もう一つのFX業者については業者破産後に改めて取締役らに対して訴訟を提起して取締役の所有不動産を原資として支払を受けて被害のほとんどを回復し、オプション業者については被害が100数十万円であるようであること、業者名が明らかにならなかったことから被害回復をあきらめた。)。

B 心身共に健常な高齢者であるが、「人の良さ」などにつけ込まれ、浄水器や布団などの次々訪問販売により1500万円程度を奪われたうえ、その余の1500万円程度を海外先物オプション取引名目で奪われた事案(東京地判平成17年3月4日先物取引裁判例集39巻524頁。強制進行手続を経て1600万円の支払を得た。)

C 無差別の電話により一人暮らしの高齢者方を見つけて訪問し、車で郵便局や信用金庫など関係金融機関の全てに連れ回して預金等を解約させ、「ファンド」への出資金名目で金銭を奪った事案(被害者自身が被害金額を記憶していなかった。残存資料から2400万円の被害であると把握されたが、被害者はそんなにお金は持っていないという。財産関係を調査して2400万円の被害があると結論し、同額の賠償を得た。)


2 金銭を騙取する手法

 圧倒的多数の被害事案は、一般的な被害と同様に、電話による不招請勧誘(求めていないのに勧誘をすること)に端を発する。電話による不招請勧誘は、業者が営業をしている時間に、固定電話になされる。これに応対するのは、その多くが高齢者であるということになり、このような勧誘方法は必然的に高齢者の被害を生じさせる。
  中には、独居高齢者を集中的に狙うため、電話で世間話をし、「一人暮らしであるかどうか」を電話により確認し、一人暮らしであることが分かれば翌日に押しかけてきて、その日のうちに郵便局や銀行に連れ回して金を交付させる被害事案も少なくない。


3 被害回復の方法

 この種被害の一般的な被害回復手続による。親族の助力が得られるときには、可能な限り相談にも同席してもらうことが望ましい。
 必ずしも、難解な、あるいは難解に見える金融商品の内容に立ち入りすぎる必要性があるとは思わない。ただ、高齢者等被害においては、取引適格、説明義務との関係で、資産・収入・投資経験、認知レベルから違法性を基礎付けるため、当該取引の危険性や難解性は適切に指摘しておく必要がある。こういう危険性と難解性がある取引は、こういう財産、収入、投資経験、認知レベルの人には適合しない、というのが主張の基本となる。
一般的に投資的投機的取引被害事案においては、過失相殺の問題は避けて通ることができないが、老いも病も、断じて過失ではない。特に高齢者は、「優しくされる」、「しつこくされる」、「甘い話をされる」ことに弱いことがある。「他人に対する抵抗可能性」を低下させているとしか思えない事案も多い。このような事案で過失相殺を云々することには、強い違和感がある。


4 特に配慮する必要がある事柄

 高齢者は、自身の被害を正しく認識していないことがしばしばある。「聞き取り」のみでは被害の実態は把握できない。関係する資料を被害者自身の認識とは離れて精査し直してみる必要がある。
また、他人に対する依存的傾向を強めている高齢者に対する加害行為であることを自覚している業者は、「はしごをはずす」(代理人弁護士の代理権限を失わせる)という暴挙に出ることもある。判決予定期日の2日前に入院中の高齢者に押しかけて訴え取下げ届けなどを徴求するという事案もあった(東京地判平成17年2月24日先物取引裁判例集40巻113頁)。このような暴挙に対しては、しかるべき厳正な対応をする必要がある。