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金融商品取引被害事案について当事務所が担当した事案で判決に至ったもののうち,被害救済実務上の参考になるものとして裁判例集等に掲載され,あるいは掲載される予定であるものを紹介する。
いずれも,身を削るような訴訟活動によって獲得してきたものであり,これを概観するのみで近時の詐欺商法の実態とこれに対する裁判実務の最新の状況が理解されるものと自負する。
各分類ごとに問題の現状等に照らして関心が高いと思われるものから順番に掲載している。順序は随時変更する予定である。複数の分類において紹介することが望ましいと考えた若干数の裁判例については重複して掲載している。
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・証券取引等(金融商品取引全般に関するものを含む)
・先物取引・先物オプション取引等(FX取引に関する裁判例のうち共通する論点に関するものを含む)
・私的差金決済取引(FX,ロコロンドン,商品CFD)
・未公開株商法・社債まがい商法
・その他出資商法,私募ファンド,預かり金商法
・強制執行・民事訴訟手続等 |
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1 静銀ティーエム証券(東京地方裁判所平成23年2月28日判決)
※極めて興味深い |
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静岡銀行の子会社である静銀ティーエム証券が,当時81歳の高齢者(年金生活者)に対して,その保有資産の大部分を占める6990万円を,一括してリスク性向の高いノックイン型投資信託に投資するように勧誘した事案について,説明義務違反を認めて損害賠償請求を認容した事例
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年金生活を送っていた一人暮らしの高齢の男性が,静岡銀行の紹介で同銀行の子会社である被告証券会社において平成17年に口座を開設して,ノックイン型投資信託を勧誘されて購入し,これが平成19年1月に繰り上げ償還された後,同年3月(当時81歳)にもノックイン型投信判決を勧誘されてこれを代金6990万円で購入したが,その後の日経平均株価の下落によって大きな損害が生じた。
この2回目の投資信託購入の直後に脳梗塞で倒れ,成年後見が開始されるに至っており,そのため本訴訟は成年後見人を代理人として提起した。
訴え提起に先立ってした証拠保全手続によって保全できた本件取引にかかる注文伝票の作成日付が本人が脳梗塞で意識を失った後であったことから,主位的には無断買付を主張し,予備的に不法行為に基づく損害賠償を求めたところ,本判決は後者を容れて被告証券会社の損害賠償責任を認めた。
本件投資信託の投資対象は債券に日経平均オプションを組み合わせた仕組債で,日経平均株価のプット・オプションを売ることによって得られるプレミアムから分配金が支払われる仕組みとなっており,償還までの期間は5年で,日経平均株価の推移によっては早期償還され,早期償還されない場合には,日経平均株価が購入時の当初株価の65%(これが「ワンタッチ水準」と呼ばれるものである)以上ならば償還日に元本全額が償還されるが,一度でも65%を超えた下落があれば,償還時の下落割合に応じた元本割れの損失が生じるというものであった。なお,早期償還がなく5年間保有した場合の分配金合計は,元本の6.06%と予定されていた。
本判決は,本件投資信託につき,株価の下落率に応じた損失が発生し得ることと,株価が上昇しても分配金を超える利益を得られないことを指摘した上で,「日経平均株価が一定の時点から5年間に35%下落する確率は平均約59%であったことからすると,株価観測期間中にワンタッチ水準を下回る可能性は低いとはいえないし,また,当初株価から最終株価への下落率が大きくなる可能性も低いとはいえない。そうすると,本件投資信託は,得られる可能性のある利益は分配金の限度であるのに対し,その利益にとどまらない損失を被る可能性のあるものであり,また,損失を被る可能性は低いとはいえず,被る可能性のある損失も小さいとはいえないものであって,リスク性の高い投資商品であるということができる。また,本件投資信託の仕組みは複雑であり,必ずしも理解が容易なものとは言い難いし,日経平均株価が5年間の株式観測期間中にワンタッチ水準を一度でも下回り,更に最終株価が当初株価より下回ることによって,元本が確保されない結果となる可能性がどの程度あるのか,その場合にどの程度の損失を被る可能性があるのか,そのようなリスクは得られる可能性のある利益と見合っているといえるのかということについて,判断することは容易ではない。」と判示し,原告には年相応の判断能力の衰えがあったこと,最初の投資信託の購入まではかつての勤務先の株式以外には預金や国債を保有していたに過ぎず,本件投資信託のような商品についての十分な経験があったとはいえず,元本が大きく毀損されるリスクを取ってでも利益を得たいというほどの積極的な投資意向を有していたともいえないこと,最初の投資信託についてもわずかな期間のうちに国債に投資していた資金6700万円全額を集中的に投資していることからしてそのリスク等を十分理解していなかったと推認できること,などから,本件投資信託についての原告の適性は低かったと判示した。
その上で,本判決は,本件投資信託購入時にも勧誘を受けて直ちに6990万円を本件投資信託に集中投資することが決められていることなどから,原告は本件投資信託のリスク等を十分に理解していなかったとし,さらに,担当社員は日経平均株価がワンタッチ水準を下回る確率を何ら説明していなかったこと,高齢者に関しては家族の同意が必要とされていた被告証券会社の内部規則との関係についても,担当社員が顧客の家族に具体的な投資信託の内容及びその金額を説明したとは考え難いことを指摘し,「本件投資信託に関する一応の説明をしたことがうかがわれるとしても,担当社員は,原告に対し,原告の投資経験,知識,理解力に応じ,原告が自己責任で本件投資信託の取引を行うことができる程度に十分に説明しなかったし,被告内部において高齢者との取引を慎重に行うべきものとしているにもかかわらず,本件投資信託の取引においてはそれが履践されていなかったものと推認することができる。」として,不法行為に基づく損害賠償請求を認容した(過失相殺4割)。
近時,デリバティブが組み込まれた投資商品が,一般消費者にも販売されるようになり,証券会社の販売担当者も金融商品の仕組みや危険性を理解しないままに勧誘を行っている場合がある。本件は,まさにこのようなケースであり,地元地方銀行に老後資産の大半を預けていた独居高齢者が,「リスク限定型」という実態に合わない説明によって本来負担する必要のないリスクが含まれた金融商品を購入させられてしまった事案である。本件のような被害には暗数も相当数存在すると思われる。金融庁や自主規制機関による規制強化が奏功し,同様の被害が減少することも期待したい。 |
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(確定) |
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⇒金融法務事情1920号108頁 |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻57頁
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⇒金融・商事判例1369号44頁 |
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⇒消費者法ニュース88号301頁 |
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⇒判例時報2116号84頁 |
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| 2 アーバンコーポレイション(東京高等裁判所平成24年3月29日判決) |
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満期転換社債型新株予約権付社債の発行に当たって払込金の全額をスワップ契約の当初支払に充てること等を開示しなかった臨時報告書等に虚偽記載等があるとし,虚偽記載等の公表と同日に行われた民事再生手続開始決定の申立ては虚偽記載等の公表に伴って必然的にとらなければならない対応であって株価の下落は民事再生手続開始の申立てがされたことによって生じたものと認めることはできず,金商法21条の2第4項,5項所定の「当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情によって生じたこと」の証明はないとして提出者の損害賠償請求責任が全部肯定された事例
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| @アーバン社は本件スワップ契約についての情報を開示しなかったからこそ,本件CBを発行することができ,市場を欺いて延命することが可能となったもので,そうでなければ,アーバン社は本件CB発行を発表した当時の前後ころにおいて,倒産処理を開始せざるを得ないような事態になっていた可能性が高いものと推認される,Aアーバン社は公表日以降の下落は民事再生手続開始の申立に起因するものであって虚偽記載とは無関係な下落であると主張するが,民事再生の申立は虚偽記載の公表により,隠蔽しようとしていたアーバン社の「資金調達能力の減退ないし欠如」が顕在することとなるため,経営を続けることが不可能であると判断したからであって,民事再生の申立の原因はまさに本件虚偽記載が隠蔽しようとしていた事情なのであるから,虚偽記載と民事再生の申立は一体のものと評価すべきである,B民事再生の申立の原因はまさに本件虚偽記載が隠蔽しようとしていた事情なのであるから,虚偽記載と民事再生の申立は一体のものと評価すべきである。これを別個のものと考え,それぞれ別個に株価下落の原因を究明するなどというアーバン社の論理は,経済の実態を見ないものであって採用する余地がない,C仮にアーバン社の見解を採用すれば,民事再生の申立と虚偽記載の公表を一致させてしまえば容易に損害賠償を免れさせることが可能となり,金商法の趣旨を没却する,D本件のように虚偽記載等が倒産の原因となる事情を隠蔽するものであった場合には,虚偽記載等と無関係な倒産処理手続開始の申立のみによって生じた損害があったとするためには,これを主張する者において,「単独で虚偽記載等の公表が行われ,倒産処理手続の申立てがなかった場合には,当該株価の下落は,金融商品取引法21条2項の2第2項に基づく推定損害額よりも少なかった」ということの蓋然性を主張立証する必要があるというべきであるところ,そのような主張立証はない,E公表前の株価下落も,ひとりBNPパリバのみがアーバン社の資金調達方法のリスクに関する情報を把握し,この情報を一般投資家が知り得ないことを奇貨として,アーバン社の株式を売却していたものと推認され,これがアーバン社の株価下落に影響していた可能性を否定することはできず,虚偽記載とは無関係の経済的要因による下落であるということはできない,などととの判示内容は極めて説得的であり,特に,B,Cは,倒産手続を併用することによって虚偽記載についての金商法の賠償責任を軽減させ,あるいは免れようとすることを許さない,結論としても極めて妥当なものであると評価されるべきものである。 |
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3 アーバンコーポレイション(東京高等裁判所平成22年11月24日判決)
※極めて興味深い |
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満期転換社債型新株予約権付社債の発行に当たって払込金の全額をスワップ契約の当初支払に充てること等を開示しなかった臨時報告書等に虚偽記載等があるとし,虚偽記載等の公表と同日に行われた民事再生手続開始決定の申立ては虚偽記載等の公表に伴って必然的にとらなければならない対応であって株価の下落は民事再生手続開始の申立てがされたことによって生じたものと認めることはできず,金商法21条の2第4項,5項所定の「当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情によって生じたこと」の証明はないとして提出者の損害賠償請求責任が全部肯定された事例
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| 株主個人が1審を追行し,判決を得ていたが(東京地判平成22年3月9日,金融法務事情1903号102頁,判例時報2083号86頁),弁護団事件にも事実上影響を及ぼすものと考えられたことから,弁護団が控訴審を受任し,附帯控訴をしていたもの。本判決は,「控訴人(アーバン社)は,(平成20年)6月末の時点で,資金調達の見込みがなければ,民事再生手続開始の申立てをしなければならない状況にあったのだから,控訴人が,民事再生手続開始申立てを本件臨時報告書の虚偽記載等の公表と同日に行ったからといって,民事再生手続開始決定の申立ては,控訴人(アーバン社)が虚偽記載等の公表に伴って必然的にとらなければならない対応であったのであるから,控訴人の株式の下落が民事再生手続開始の申立てがされたことによって生じたものと認めることはできない。」と認定し,「(金商法21条の2)4項,5項所定の「当該書類の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情によって生じたこと」の証明はないというべきであ」るとして4項・5項による減額をいずれもその前提を欠くものとして否定し,アーバン社の控訴を棄却し,株主の附帯控訴を全部認容した。本判決は,虚偽記載等が存する臨時報告書等を提出した会社が,真実情報を破産,民事再生,会社更生等の手続開始と同時または開始後まで公表しなければ,金商法が定める損害賠償責任を免れるという不合理な帰結をもたらすような主張を認めなかったものであり,あるべき開示規制と投資家保護・市場の公正に関する規律の適用のあり方を正解するものであり,正義に適うものであると感じられる。いくら虚偽記載をしても,破産したり再生したりして,それと同時に真実を公表すれば賠償責任が減じられるというのは不合理である。この点を看破した本判決は高く評価されるべきものと思う。 |
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(業者側上告,上告受理申立て) |
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⇒消費者法ニュース86号184頁 |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻133頁 |
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⇒金融法務事情1916号97頁 |
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⇒判例時報2103号24頁 |
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⇒判例タイムズ1351号217頁 |
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4 アトランティック・ファイナンシャル・コーポレーション(東京地方裁判所平成20年7月16日判決)
※極めて興味深い |
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システムトラブルによりロスカット・ルールが発動されなかった事案について,FX取引におけるロスカット・ルールの適切な発動は業者の顧客に対する義務であり,そのためにFX取引において起こりうる様々な事態に十分対応できるようシステムを用意しておかなければならないとしてロスカット・ルールが適切に発動されていれば確保されていたであろう証拠金の賠償を命じた事例
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FX取引におけるシステムの構築,ロスカット・ルールの発動に関する業者の義務についての初判断。判示事項は以下のとおり。
「本件取引は,必要証拠金額が原告の建玉の総額の1パーセント相当額に設定されていることから,原告が預託した証拠金の100倍相当額の建玉を運用することを可能とするものであり,為替レートの変動によっては,原告に瞬時にして莫大な損失を与える危険性を有することに照らせば,上記のロスカット・ルールの顧客を保護する機能は,本件取引において,極めて重要な役割を担っていたということができる。」
「(被告会社が交付した文書,インターネット上の比較サイトの記載,顧客が取引相手を選択する上で重要な関心事になっていること,などに照らして)原告のロスカット・ルールへの期待は合理的なものとして法的な保護に値するということができるから,被告は,有効証拠金額が維持証拠金額を割り込んだときにロスカット手続に着手しなければならない義務を負っていたと解するのが相当である。」
取引要綱に「できる」という文言を用いてロスカット・ルールの記載があったとしても,ロスカット手続に着手するかどうかを被告が自由に判断できると解するのは相当ではない。
「(被告会社の)コンピューターの不具合は,同システムの通信回線の使用量がその容量を上回ったこと,そのためサーバーに負担がかかったことを原因とするものであり,前記(1)で説示した同システムの内容,顧客の注文に必要とされる通信量,被告との間で外国為替証拠金取引を行っていた顧客及び取引口座の数,被告は,本件ロスカット時の前後の時期に複数回にわたり,同システムの能力不足に起因して,顧客との取引に障害を起こしていたこと,被告が,本件ロスカット時の後,上記障害への対策として,通信回線及びデータベースサーバーについて大規模な増強をしたことにかんがみれば,被告が本件ロスカット時において用意していたコンピューターシステムは,その取引環境に照らして,不十分なものであったといわざるを得ない。」
被告の約款ではコンピューターシステムの故障などにより生じた損害についての免責規定があるが,消費者契約法8条1項1号,同項3号に照らせば,「被告とヘッジ先とのカバー取引が被告の責に帰すべき事由により成立しない場合にまで,原告と被告との売買が成立しないことについて被告を免責する規定であるとは解し得ない。」
「ロスカット手続は,有効証拠金額があらかじめ決められた所定の水準まで減少するという条件が成就した場合に発動する手続であって,そもそも大きな為替相場の変動とそれによる混乱の発生を予定している仕組みである上,原告が預託した証拠金よりはるかに多額の建玉の運用を可能とし,極めて危険性の高い本件取引において,ロスカット・ルールは顧客の損失の拡大を防止し顧客を保護するいわば安全弁としての機能を有するものであることからすれば,外国為替証拠金取引業者である被告は,真に予測不可能なものを除いて,同取引において起こり得る様々な事態に十分対応できるよう,ロスカット手続のためのシステムを用意しておかなければならないというべきである。」
よって,被告の債務不履行がなく,ロスカット手続が行われた場合の想定価格での差損益との差額は,不法行為または債務不履行による損害であり,業者にはこれを賠償しなければならない。 |
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(業者控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集52巻366頁 |
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⇒消費者法ニュース78号285頁 |
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⇒金融法務事情1871号51頁 |
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⇒国民生活センター「消費者問題の判例集」 |
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5 幸せwin,大橋ひかる,マネースクウェアジャパン(東京地方裁判所平成20年10月16日判決)
※極めて興味深い |
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「100%の勝率で毎月25%以上の利益を得ていく方法」などと喧伝されていた「FX常勝バイブル」という情報商材の頒布者とこれにより顧客獲得をしていたインターネット専業FX取引業者の損害賠償責任を肯定した事案
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通称名「大橋ひかる」を名乗る者が「100%の勝率で毎月25%以上の利益を得ていく方法」であるなどと喧伝して「FX常勝バイブル」という情報商材を頒布し,「FX常勝バイブル」では,株式会社マネースクウェア・ジャパンというFX業者(上場会社である)で口座を開くことが推奨されており,大橋とマネースクウェアとの間では,FX常勝バイブルを経由して口座開設等がなされたときには報酬が支払われることになっていた(いわゆるアフィリエイト契約)。
判決は,大橋(及び同人が実質的に首謀者であった幸せwin株式会社)は,FXで「100%の勝率」などということは あり得ないのに(実際も現に損失が出ている),誤った情報を提供して原告に取引をさせたのだから,不法行為責任を負う,マネースクウェアは,上記を顧客獲得の手段としていたのだからFXに関する誤った理解をして口座開設を申し込む者がある可能性を認識していたはずであり,そうでなくとも認識すべきであり,それを前提に適合性審査をするべきであるのにそれをせずに取引を開始させたのであり,この顧客獲得行為自体が違法である,と判示した。取引業者における適合性審査の杜撰さも指摘されている。
金融商品取引法によって不招請勧誘が禁止されている相対FX取引について,インターネット上のバナー広告などが氾濫している。これにより副業収入を得ようとする行為(いわゆるアフィリエイト)も盛んになされている。アフィリエイトを行おうとする側はより目を引く方法で一般のインターネット閲覧者の注意を集めたいだろうし,FX業者側も,多少強引な経路をたどってきた者であっても口座を開設してもらいたいという動機が生じることはやはり否定しがたい 現在も,そして今後も本件同種の問題は起こりうる。
本判決は,FX業者が直接に開設したHP等においてでなく,顧客誘引を委託した相手が行った「顧客誘引活動」についても,関与の態様によっては取引業者の顧客獲得行為の問題となる場合があることを示し(この点を指摘する初めての判決であると思われる。),取引による損害の賠償を命じたものであり興味深い。 |
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(業者控訴,被害者附帯控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集53巻352頁 |
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⇒消費者法ニュース78号275頁 |
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⇒金融・商事判例金融SUPPLEMENTVol.3No.1 |
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⇒国民生活センター「消費者問題の判例集」 |
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6 アルファエフエックス(東京地方裁判所平成22年4月19日判決)
※極めて興味深い |
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FX取引の区分管理義務に違反して巨額の預り金を関連会社の取引のカバー取引の証拠金に充て,結果20億円に上る顧客の預り金を消失させて自己破産したアルファエフエックス社の倒産に関し,FX取引業者及び証拠金を差入れずに取引を行っていた関連会社の役員らに対して損害賠償を命じた事例
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平成19年11月9日,関東財務局は,外国為替証拠金取引業者であるアルファエフエックス社に対して,証拠金等を自己の固有資産と区分して管理していないなどとして,6か月の業務停止命令の行政処分をした。しかし,このときすでに同社は20億円以上の預り証拠金を流用した挙げ句に失い,行政処分に先立つ同月6日に自己破産の申立をしていた。登録を経ている業者が,預り証拠金を全部消失させて自己破産の申立をし,その後にようやく行政が業務停止(登録取消でもない)の処分をするという,滑稽とすらいえる事態が生じたのである。すでに法令(内閣府令)の改正により顧客の預り資産の区分管理は,一応の制度化が完了したとされていた時期であった。
このような例は決して希ではない。各財務局が公表している登録取消,業務停止処分の理由を概観すれば,登録業者であっても,顧客からの預り金を役員報酬や運転資金に流用していたとか,配当に回せる収益がないのに預り資産を取り崩して配当原資にしていたとかといった,正常な金融商品取引業であるとは到底見ることのできない態様で営業活動をしている業者が相当数存在する現状にあることが分かる。
本判決は,証拠金の流出を防止するべき注意義務を怠ったとして,アルファエフエックス及び関連会社であるグラン・ディの取締役・監査役らに対して被害者の未返還証拠金相当損害金等の損害賠償を命じた事例である。預り金が社外に違法に流出されないようにするべきことはこの種業者の最も基本的な業務のありようであって,防止しようと思ったができなかったとか,自分は名目的役員なので何もしないで当たり前だ,などという抗弁が排斥されることは当然である。 |
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(確定) |
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⇒金融・商事判例金融SUPPLEMENTVol.18No.4 |
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⇒先物取引裁判例集59巻261頁 |
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⇒金融法務事情金法判例Digest第21回−5 |
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⇒判例タイムズ1335号189頁 |
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| 7 SMBCフレンド証券(東京地方裁判所平成17年7月22日判決) |
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国内証券会社が行う日経225先物オプション取引について,適合性原則違反を認めて5割の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例
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公務員である原告が相続を契機として泉証券に口座を開設し,半年ほど株式現物,中国株,日経225連動型上場投資信託などをして損失を出した後,1年3ヶ月程度の日経225オプション取引をし,3000万円の損失を受けたというもの。うち手数料が2500万円にのぼる。泉証券を承継したSMBCフレンド証券に対する損害賠償請求。
判決は,オプション取引の特徴を検討した上で,「オプション取引は,金融工学等に基づいて構築された極めて複雑難解な仕組みとなっており,その仕組みを十分に理解することなく,あるいは,関連情報の収集分析能力を備えていない者が取引を行う場合には,もっぱら直感的な相場見通しを手掛かりとして,リスクの限定や回避を講じることなく,損失の可能性に対し無防備な取引を行い,その結果,予期しない多額の取引差損,手数料損等の損失を受ける可能性が少なくないものと認められる」として,他の投機取引にも増して適合性について慎重な検討が必要であると判示した。そして判決は,原告には株式取引等の投機取引について理解するための知識,経験,能力等はあったが,オプション取引について的確に理解し,的確な取引行為を行い得るほどの専門的な知識,経験等を有していたとは認められないとし,また,公務員として勤務していた原告には調査検討や独自の情報の収集分析を行い得る状況にもなかったとした。次いで判決は,説明義務に関し,「オプション取引の仕組み等を分かりやすく的確に説明するとともに,取引に伴う損失の危険性,手数料の負担等の損失に関する要因についても十分に説明する義務がある」とした上で,担当社員の説明はオプション取引のアウトラインに関する通り一遍の説明に止まるものであって,原告が上記の点について的確に認識し得たとは認められないとした(併せて,判決は,原告には投資取引について少なくとも平均水準の理解力があったとしつつ,それでも本件における説明程度では,複雑難解なオプション取引を理解して自己の判断で取引をこなすことは困難であるとも判示している)。以上から,判決は,適合性原則違反と説明義務違反による不法行為を肯定した(過失相殺5割)。 |
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(双方控訴,和解) |
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⇒証券取引被害判例セレクト26巻223頁 |
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| 8 川研ファクター(東京地方裁判所平成18年12月27日判決) |
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| 「ニッパチ商法」と呼ばれる,証券金融,証券担保ローン付株式取引まがい商法。その商法自体に利益相反状況があり,被害者に利益を生じさせないことを前提に取引を行っていたとして損害賠償請求を認容した事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト29巻249頁 |
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1 カネツ商事(東京地方裁判所平成21年10月6日判決,東京高等裁判所平成22年3月17日判決)
※極めて興味深い |
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先物取引被害について7割の過失相殺をした1審判決を変更し,過失相殺を明示的に否定して損害の全部の賠償を命じた事例
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| 先物取引被害事案では過失相殺をする裁判例が多い。事案によっては被害者の過失が業者の意図したものと質的量的に異なることもないではなく,そのような場合には過失相殺をする余地も出てくるだろうが,現状では,被害者の過失を外務員があえて利用する悪質な事案においても安易に過失相殺がされる傾向が強い。しかし,それでは違法行為のやり得になってしまうから,裁判所には,事案を正解したうえで,悪質な商法に与しない厳正さを示すことが求められる。本判決は,被害者は損をしても追証を入れたりセミナーに参加するなどして,取引継続の意欲を示しているとうかがわれるが,これらは新規委託者保護期間内の事柄であって,適合性原則違反や新規委託者保護義務違反の程度が著しい本件では過失相殺の対象とするべき過失とは評価できない,と判示している。過失があるかないかということと,それを過失相殺法上の過失と評価すべきかどうかということを正しく区別して論じており,説得力がある。音楽の先生に先物業者が群がって金を取っていったという被害事案であり,過失相殺を否定して損害の全部の賠償を命じた本判決の結論は,もとより正当である。 |
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(業者ら上告・上告受理申立・上告棄却・不受理・確定) |
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⇒先物取引裁判例集59巻95頁 |
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(原判決。双方控訴) |
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⇒先物取引裁判例集59巻59頁 |
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(参考:控訴理由書) |
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2 オービット・キャピタル・マネジメント(東京地方裁判所平成17年2月24日判決)
※極めて興味深い |
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| 80歳の独居高齢者の海外通貨先物オプション取引について,適合性原則違反等を認めて損害賠償請求を認容した事例。訴訟提起前に本人が和解契約をしていた点,判決言渡予定期日の2日前に業者が入院中の被害者のもとに押しかけて訴え取下書などを書かせるといった常軌を逸した判決回避の手段に出た点に大きな特徴がある。業者の行為を詐欺行為と紙一重であると厳しく非難し,過失相殺をせず,通例に比して大きな割合の弁護士費用相当損害金の請求を認容した。 |
80歳の高齢者が,海外市場における通貨先物のポジションを原資産とするオプション取引によって老後の生活資金のほとんど全てを奪われ,楽しみにしていた友人と一緒の老人ホームに入るというささやかな夢を破壊された。被害者は自ら業者と交渉をしたが太刀打ちができるものではなく,被害金額の1割を受領するという内容で和解をしてしまっていた。勧誘・受託行為に顕著な違法があることは当然であり,被害者自らが締結した和解合意書の効力も否定されるべきであるとして訴訟を追行した。
ところが,判決言渡し予定期日の2日前に業者の男らが入院中の被害者のもとに押しかけ,弁護士解任届,和解契約書,訴え取下同意書を被害者に書かせてこれを裁判所に提出するという暴挙に出た。本件業者は豊田商事の残党らが運営していたものであり,やっていいことといけないことの区別をきちんと付けることを期待することもできないかもしれないが,このような行為が許されて良いはずが無い。法律上,訴えの取下げなどの訴訟行為は,「刑事上罰すべき他人の行為に基づく場合」に限ってその効力が否定しうるものとされているところ,本判決は,「かかる行為は訴訟上の信義に著しく反するものというべきであり,そのような行為によってもたらされたものというべき本件訴え取下げを有効と見ることは著しく正義に反する。」とし,業者の行為を「詐欺行為と紙一重のものとさえいえる」と厳しく非難して,被害者の主張を全部採用し,弁護士費用相当損害金を含む損害の全額について損害賠償請求を認容した。私にとって,裁判所がこれほど「信頼に足りる」と感じられたことはない。非常にうれしい判決だったので,判決文を受け取った日には枕元において寝た。
なお,同社は,「東京プリンシパル証券」,「東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング」と名称を変更し,私募ファンドなどを取り扱っているようであり,平成22年3月に強制捜査を受けている。 |
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(業者ら控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集40巻113頁 |
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| 3 オリオン交易・カネツ商事(東京地方裁判所平成19年1月22日判決) |
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商品取引員2社との間で平行して先物取引を行っていた主婦の被害事案について,取引の客観的履歴から違法性を組み立てる主張に対して,丁寧に応答し,無意味な取引に関する熟した判断を示した事例
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| 被害者は詳細なメモを記載するなどしており,そのような書面の表面をなぞるのみでは,「理解して主体的に取引をしていた」と誤解されかねない事案であったが,頻繁過量な取引がなされ,その内容は経済的合理性を決定的に欠くものも多かったので,取引の客観面からの主張を強くした。判決は,常時両建,同時両建やこれに類する両建,その同時仕切り,損切り直しなどの不合理性を詳細に判示している。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集47巻273頁 |
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| 4 コメックス(東京地方裁判所平成22年5月25日判決) |
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取引終了後に認知障害がある旨診断されたケースで,外務員の尋問の結果などから適合性原則違反の主張が認められた事例
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本判決はまず,「外国為替証拠金取引は,わずかの値動きによって多額の差損益を生じるきわめて投機性の高い取引であり,同取引のこのような特質にかんがみると,同取引の取引員ないしその従業員には,取引を勧誘する相手方に,取引に参加する適格性があるかどうかを判断し,適格性に欠ける場合には,その相手方に対する取引の勧誘を中止し,既に取引を開始している場合にはこれを直ちに終了させるべき義務があるというべきであり,このような義務に違反して取引を勧誘,継続することは,不法行為としての違法性を有するというべきである。」との規範を定立し,本件では,@被害者が取引期間中一貫して積極的に電話連絡をしたことがないこと,A被害者が取引に関して質問もせず,うんうんと黙って聞く程度の対応にとどまっていたこと,B被害者が取引開始から3年後にアルツハイマー型認知症と診断されたこと,C被害者は業者の内部規制の変更に伴う再審査に際して投資に積極的ではないと評価されたのにそれ以降も40件の売買がされていることから,「原告は,本件取引当時,加齢によりその記憶力,判断力が相当程度低下しており,野口に対し,取引状況の報告を求めたり,取引について疑問に思うことを質問するための理解力すら備えておらず,本件取引期間を通じ一貫して,外国為替証拠金取引をする適格性を有していなかったのであり,原告の年齢や取引に対する対応からすれば,野口を含む被告の従業員は,本件取引開始当時から原告に外国為替証拠金取引をする適格性がないことを認識,認容していたものと認められる。」と結論した。
本件のように被害者が自身の被害を再現するなどできなくなってから被害が顕現化することも決して希ではない。このような場合には業者側から提出される証拠にはどうしても偏りが生じるだろうが,そのような制限があっても様々な事実から業者の行為の違法性を指摘することは不可能ではない。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集60巻14頁 |
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| 5 第一商品(東京地方裁判所平成22年10月29日判決,東京高等裁判所平成23年4月27日判決) |
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| 金の現物取引を行うため被告会社に連絡をしたところ,先物取引を強く勧められ取引を開始させられた事案について,@先物取引のリスクや仕組みを理解していないことが審査時の会話から明らかである原告に対して必要な説明を行わないまま取引を開始・継続させ,取引開始後にはA原告の保有資産を超える高額の投資可能金額を設定させたうえで,多額の証拠金を必要とする多数回の取引をさせるなど,原告を新規委託者として保護すべき義務を怠り,B手数料稼ぎを行う目的で,原告が理解しないまま多数回の特定売買を勧めた行為等について,丁寧に事実を認定し,被告会社外務員の違法性を認め,2割の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例(控訴審もこれを支持) |
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(業者側控訴,被害者側附帯控訴) |
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⇒先物取引裁判例集61巻96頁 |
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(控訴審判決。業者側上告受理申立) |
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⇒先物取引裁判例集62巻404頁 |
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| 6 オプションズ(東京地方裁判所平成23年7月15日判決) |
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| 海外先物オプション取引被害事案について,適合性原則違反,説明義務違反の違法を認め,先物取引や未公開株商法の被害に遭ったことがあるという事実から,電話勧誘に応じて言われるままに取引をしてしまう判断能力の低下傾向を認定し,業者における勧誘方針・理解度確認手続やその履践の実際を認定して,業者及び役員・従業員らの責任を認めた事例(過失相殺なし)。 |
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⇒先物取引裁判例集63巻66頁 |
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| 7 Systematic Trading Solution(Japan)(東京地方裁判所平成20年5月30日判決) |
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| 海外先物取引被害事案で適合性原則違反等を認めて損害賠償請求を全部認容した事例 |
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(一部業者役員控訴,和解。一部確定) |
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⇒先物取引裁判例集52巻249頁 |
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| 8 エー・シー・イー・インターナショナル(東京地方裁判所平成17年10月25日判決) |
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海外商品及び通貨先物オプション取引被害事案の中では,異例の長期間にわたって取引が行われていた事案について,業者の組織的な違法勧誘を認定して,1回目の取引については過失相殺をせず,2回目の取引について3割の過失相殺をして債務不履行に基づく損害賠償請求を認容した事例
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| 海外市場における商品及び通貨の先物取引のポジションを原資産とするオプション取引において,業者が,「この相場は火曜日になったら暴騰する。寝ている場合ではない。保険金を解約してお金を作れるだろう。」等という異常な勧誘を行っていたことが,被害者が録音していたテープなどから明らかになった事例。判決は,「本件取引の期間,被告においては,営業員に金融商品についての十分な教育をせずに,顧客獲得のノルマのみが課され,これを達成できないときには制裁が加えられたほか,給与面でも歩合給に依存する部分が大きかったことから,勢い,オプション取引のリスクを十分説明せずに利益を強調した無理な顧客獲得がなされる素地があった上に,現に,組織的に利益強調型の勧誘行為が行なわれていたことが窺われる。」と判示し,初回取引について過失相殺をせず,第2次取引においても過失相殺を3割したものの損害賠償請求を認容した。7年間という長期間にわたる被害は珍しく,不法行為に基づく損害賠償請求については消滅時効も問題となったため,債務不履行に基づく損害賠償請求という法的構成を採用した。業者の体質自体を非難する判決は,同種被害事案の解決をより適切かつ迅速に行なわせることになり,高い価値があると考える。 |
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(業者ら控訴,被害者附帯控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集41巻649頁 |
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| 9 小林洋行(東京地方裁判所平成17年12月20日判決) |
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| 昭和17年生まれの男性会社員の商品先物取引被害について,過当取引の違法性を認め,過当な取引に引きずり込まれていく被害者の精神状況について正しい理解を示して2割の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集42巻81頁 |
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| 10 オリオン交易(東京地方裁判所平成18年3月29日判決) |
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昭和14年生まれの主婦の商品先物取引被害について,各違法要素の関係や一般消費者が勧誘されてする先物取引の実際について正しい理解を示して,新規委託者保護育成義務違反などを認めて過失相殺をせずに損害賠償請求を認容した事例
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被害者はか弱い女性であり,夫を亡くして自身の存在にも強い意味を見出すことができず,毎日をむなしいと感じていた。そのようなところに勢いだけはある若い男性らが入れ替わり立ち代り押しかけてきて金の交付を執拗に求めるのである。このような態様で正常な投機取引など行われるはずがない。現に,取引は,無意味な取引を含む著しく過当なものであった。
被害者は法廷でうそをつくなど信じられないというような誠実そのものの人であり,被害者本人尋問は必ずしも成功したとは言えず,相手方代理人の質問に対し,消え入るような声で「分かりません」というばかりである一方,業者の外務員は,つらつらと交付書面を朗読していくような証言をするのであるが,証言が終わってみると,その証言に要した時間自体が,現実の説明時間を越えてしまっている(つまり,法廷で再現した説明が実際にはなされなかったことがその証言時間自体から明らかになる)という滑稽なものであった。本判決は,過失相殺をしなかったものであるところ,過失相殺については正面から判断が下されてはいないが,このような外務員の証言態度,業者の訴訟追行姿勢から,誰が真実を述べ,誰がそうでなかったかを裁判所が明確に認識し,業者に対してあるべき正当の拒絶感とでもいうべき強い非難を向けた結果であろうと考えている。 |
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(業者控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集43巻243頁 |
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| 11 C&Pインデックス(東京地方裁判所平成17年3月4日判決) |
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80歳の独居高齢者の海外商品先物オプション取引被害事案について,適合性原則違反,説明義務違反など一体的不法行為を構成させる違法事由を認め,杜撰な勧誘行為をするのは被告会社の体質ともいうべきものと窺われるとして,1割の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例
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80歳の本当に人の良いおばあさんが,ふとんや浄水器などの次々販売で老後の生活資金の大半を奪われ,最後に海外市場における商品先物のポジションを原資産とするオプション取引によって老後の生活資金の全てを奪われてしまったという事案。判決は被害者の主張をほとんど全て採用して損害賠償請求を認容し,現実の被害回復は損失金額を上回ることにはなった。しかし,80年間誠実に生きてきた高齢者に対して,判決が,「人に大金を渡す時には気をつけなければならない」旨述べて1割の過失相殺をしたということには,違和感を禁じえない。80歳の高齢者に,一体今更何を「説教」しようというのか。高齢者は,ただ,人を信じればよい。
被害者は,「ウコン」と「イラブ(ウミヘビ)」を愛飲し,私にとってはだまされて買わされたと感じられる「浄水器」を愛用する,元気で明るく気丈なおばあさんだった。事件が終了した時には,真剣な顔をしてわざわざ椅子からおり,土下座をされたので,びっくりして私も一緒に土下座のし合いをした。高齢者は,弱々しく見えるときがある反面,あるときには凛とした美しさを見せる。「子供しかるな来た道じゃ,老人泣かすな行く道じゃ」などといわれることがあるが,子供をしかるのと老人を泣かせるのは次元が違う。
人を信じることは「悪」であるはずがなく,現に,「私は頼まれれば何にだってはんこ押しますよ」と法廷で言い切った被害者の顔には,いやしさのかけらも無かった。人間生活の営みをいびつにする悪質業者の存在ゆえに,人を信じるという「自然」な行為をあたかも「悪いこと」であるといわなければならなかったり,高齢者に「人を信じるな」といわなければならないとすれば,それは悲しいことである。
我々法曹が,本件がごとき詐欺被害を目の前にしたとき,なすべきことは「悪者」に対する圧倒的非難であり,ほんの少しでも高齢者の尊厳を奪うかのような「人を信じたことへの非難」をするべきではないと思う。本判決は,「このような杜撰な勧誘行為をするのは,被告会社の体質ともいうべきものと窺われる。」と業者を厳しく非難し,請求のほとんどを認容したが,1割の過失相殺をしたことに,私は今なお強い違和感を禁じえない。なお,本件では,判決確定後も任意の支払を得ることができず,動産執行等の手続を採ってようやく回収を見た。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集39巻524頁 |
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| 12 大起産業(東京地方裁判所平成18年6月5日判決) |
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| 53歳の団体職員が団体の資金を流用するなどしてアラビカとロブスターの価格差に着目した鞘取り取引を勧誘されて高額の被害に遭った事例で,2割5分の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例 |
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(業者控訴,被害者附帯控訴) |
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⇒先物取引裁判例集44巻321頁 |
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⇒金融法務事情1784号6頁金融判例瓦版 |
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(東京高等裁判所平成18年11月15日判決 確定) |
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⇒先物取引裁判例集46巻407頁 |
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| 13 バリオン(東京地方裁判所平成23年8月31日判決) |
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海外先物取引被害事案について,適合性原則違反,説明義務違反の違法を認め,契約を担当したが初回入金の2日後に退社してその後の関与していない被告I,管理部責任者として適合性審査をしたが個別の取引に関与していない被告Aについても,彼らの行為は業者の営業行為として一体として行われたものであるところ,被告Iは説明義務を尽くすことなく適格性を欠く原告を勧誘し,被告Aは適合性審査を担当する管理部の責任者でありながら適格性を欠く原告について取引を開始,継続させているとし,共同不法行為責任を負うとして損害の全部の賠償を命じた事例
一部関与当事者の責任について参考になる。また,先物取引で損失を被った経験があることを過失相殺などのための事情として用いず,「経験というよりは,被害というべきものである」と評価して適合性原則違反を肯定する方向の事情として用いており,この種取引被害及び被害者の有り様の実際を正解するものとして,参考になる。 |
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⇒先物取引裁判例集63巻101頁 |
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| 14 カネツ商事(東京地方裁判所平成19年7月23日判決,東京高等裁判所平成20年1月24日判決) |
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外国為替証拠金取引の勧誘に端を発して行われた商品先物取引被害について1審判決は故意に準ずる不法行為があるとして過失相殺を否定したが,控訴審は4割の過失相殺
をした。
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| 上記1の控訴審判決とも対比するとき,この種被害事案は裁判官の感受性によって被害回復が左右されることがよく理解される。 |
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(業者控訴) |
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⇒先物取引裁判例集49巻234頁 |
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(控訴審判決。被害者上告受理申立,不受理,確定) |
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⇒先物取引裁判例集50巻491頁 |
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| 15 PCSJ(東京地方裁判所平成22年10月26日判決) |
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| 海外商品先物取引業者が顧客から注文を受けたときにその建玉に対して必ず当該建玉と反対の同一商品,限月,同一商品・限月・枚数・指値の建玉を行う取引を恒常的に行っていた場合に,勧誘担当従業員が上記事実を告げなかったことは説明義務に違反するとし,売買同数の建玉を取次会社に発注していたことから顧客に対する勧誘行為の違法性は恒常的に生じていたものであるとして,会社・役員・従業員らに対する損害賠償請求を認めた事例 |
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⇒先物取引裁判例集61巻69頁 |
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| 16 日本インベストメントプラザ (東京地方裁判所平成21年6月25日判決) |
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| 海外商品先物取引と称する本件取引についてのみ行為であると判示し,虚偽の事実を告げて欺罔し金員を交付させたとして担当従業員2名に対し,実損全額及び弁護士費用のみならず慰謝料の請求をも認め事例 |
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⇒先物取引裁判例集56巻144頁 |
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1 K・モンスター(東京高等裁判所平成20年10月30日判決)
※極めて興味深い |
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ロコ・ロンドン貴金属取引について,賭博に該当する違法なものであるから,仮に被害者が取引の仕組みやリスクを理解して取引を行ったとしても,このような取引に勧誘してこれに引入れた従業員・役員らは,共同不法行為責任を負うとして損害の全部賠償を命じた事例。なお,取引終了にあたって清算条項のある合意書が作成されていたが,和解合意の成立は認められないとされている。
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本件取引は,「ロンドン渡しの金の現物価格」及び「ドル為替変動」を差金決済の指標とする差金決済契約である。「ロンドン渡しの金の現物価格」も「ドルの為替レート」も,業者及び顧客には予見することができないものであり,,また,その意思によって自由に支配することもできないものであるから,本件取引は偶然の事情によって利益の得喪を争うものというべきであり,賭博行為に該当する。そして,本件全証拠によっても,本件取引の違法性を阻却する事由を認めることはできない。
仮に被害者において本件取引の仕組みやリスクを理解して本件取引を行ったとしても,顧客として勧誘しこれに誘い入れた点において,その勧誘行為を実際に行った従業員及び役員らは共同不法行為責任を負う。
取引が終了して清算条項付の和解がなされたという業者の反論に対しては,取引が終了していなかったことから,合意書作成時点において和解の合意をする必要性が認められないとして,和解の合意が成立したとは認められないとした。
この種商法について迅速な被害回復を可能とさせた。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集53巻377頁 |
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⇒消費者法ニュース78号278頁 |
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⇒国民生活センター「消費者問題の判例集」 |
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2 シー・エフ・ディー(東京地方裁判所平成18年4月11日判決,東京高等裁判所平成18年9月21日判決)
※極めて興味深い |
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| 外国為替証拠金取引は賭博として公序良俗に反するものであるから,これを行わせた取締役は旧商法上の損害賠償責任を負うとした事例。慰謝料請求も認容されている。 |
| 同判決は,東京高等裁判所が「外国為替証拠金取引」の公序良俗違反性について判断を示した初めてのケースであり,その内容も,いわゆる「外国為替証拠金取引被害問題」の最終決着にふさわしい判決であり,多くの同種訴訟に少なからぬ影響を及ぼした。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集45巻408頁 |
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⇒金融・商事判例1254号35頁 |
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⇒消費者法ニュース70号190頁 |
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⇒先物取引裁判例精選U266頁 |
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(原判決。被害者控訴) |
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⇒先物取引裁判例集43巻394頁 |
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3 オルネフ(東京地方裁判所平成22年11月4日判決)
※極めて興味深い |
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「商品CFD取引」と称する取引について,賭博としての実質的違法性があり,適合性原則に違反するとして業者・取締役・従業員(管理担当者を含む)に対する損害賠償請求を全部認容した事例。
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いわゆる「ロコ・ロンドンまがい取引」(「スポット貴金属取引」,「貴金属CFD取引」などと称される私的差金決済取引商法群)については,私的差金決済取引であることに着目してこれを賭博に該当するものとし,その証拠金のために金銭の交付を求めること自体に不法行為法上の違法性があるとする裁判例が集積されてきており,被害救済実務の迅速に寄与してきたが,必ずしも私的差金決済取引の実質的違法性に踏み込んで考察したものではなく,議論を消化しきれないままに結論してきたきらいがなかったわけではない。近時,大手の証券会社なども取引を外形的に見れば同一の仕組みであるように見える取引を取り扱うようになっていることもあって,私的差金決済取引を賭博に該当するとして不法行為法上違法と即断することに躊躇が感じられることもあろう。しかし,大規模な被害を生じさせているこの種の取引については,被害回復の迅速の要請もあり,いわゆる「まがい取引」については取引の仕組み自体を違法と評価する枠組み自体は維持されるべき要請がなお強い。本判決は,そうした問題意識の中で,この種取引が形式的に賭博行為に当たるとの判断に加えて,実質的に賭博としての違法性を備えているか否かを詳細に判断しており,ひときわ強い説得力を有しているものと感じられる。
本件は,重度の視力障害者である被害者から詐欺業者が命金のすべてを奪ったという,ひどい事件であった。被害者は,ほとんど目が見えないのに,「先生,そこに私の署名がありませんか,やっぱり私が悪いんです」などという。それは,違う。あなたはちっとも悪くない。幸いにして私には矯正すれば満足な視力と,弁護士の資格と,悪行を働いた彼らに勝る知恵がある。知識と若干の経験と,ノウハウもある。私が助けてあげる。職業として正義を行っているという,青臭い使命感を感じる不遜を赦して欲しい。
こういう事件の書面では,何かしらの「力み」が出る。こういう事件で力まなかったら弁護士はつまらない。後から読み返して恥ずかしいくらいの書面ががちょうどいい。今回の事件記録にも,振り返ってみると,「力み」があった。長々とした第1準備書面の冒頭らあたりに,「言いたいことは山ほどある。」と書いてある。それなら別に黙って山ほど書けばいいじゃないかとか,もう山ほど書いてるじゃないか,とかといった突っ込みを自らしたくなるが,それはそれで,ご愛敬。
弁論終結後に急遽仮差押をすることとして,弁護士費用相当損害金を含む全損害について仮差押を奏功させ,判決後に差押命令及び転付命令を得てその確定を見た。こういう悲惨な事案で,かつ被害金額が巨額である場合に,迅速に現実の被害回復が達せられたときには,本当にうれしい。 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース86号196頁 |
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⇒先物取引裁判例集62巻254頁 |
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4 アルファエフエックス(東京地方裁判所平成22年4月19日判決)
※極めて興味深い |
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FX取引の区分管理義務に違反して巨額の預り金を関連会社の取引のカバー取引の証拠金に充て,結果20億円に上る顧客の預り金を消失させて自己破産したアルファエフエックス社の倒産に関し,FX取引業者及び証拠金を差入れずに取引を行っていた関連会社の役員らに対して損害賠償を命じた事例
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平成19年11月9日,関東財務局は,外国為替証拠金取引業者であるアルファエフエックス社に対して,証拠金等を自己の固有資産と区分して管理していないなどとして,6か月の業務停止命令の行政処分をした。しかし,このときすでに同社は20億円以上の預り証拠金を流用した挙げ句に失い,行政処分に先立つ同月6日に自己破産の申立をしていた。登録を経ている業者が,預り証拠金を全部消失させて自己破産の申立をし,その後にようやく行政が業務停止(登録取消でもない)の処分をするという,滑稽とすらいえる事態が生じたのである。すでに法令(内閣府令)の改正により顧客の預り資産の区分管理は,一応の制度化が完了したとされていた時期であった。
このような例は決して希ではない。各財務局が公表している登録取消,業務停止処分の理由を概観すれば,登録業者であっても,顧客からの預り金を役員報酬や運転資金に流用していたとか,配当に回せる収益がないのに預り資産を取り崩して配当原資にしていたとかといった,正常な金融商品取引業であるとは到底見ることのできない態様で営業活動をしている業者が相当数存在する現状にあることが分かる。
本判決は,証拠金の流出を防止するべき注意義務を怠ったとして,アルファエフエックス及び関連会社であるグラン・ディの取締役・監査役らに対して被害者の未返還証拠金相当損害金等の損害賠償を命じた事例である。預り金が社外に違法に流出されないようにするべきことはこの種業者の最も基本的な業務のありようであって,防止しようと思ったができなかったとか,自分は名目的役員なので何もしないで当たり前だ,などという抗弁が排斥されることは当然である。 |
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(確定) |
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⇒金融・商事判例金融SUPPLEMENTVol.18No.4 |
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⇒先物取引裁判例集59巻261頁 |
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⇒金融法務事情金法判例Digest第21回−5 |
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⇒判例タイムズ1335号189頁 |
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| 5 コメックス(東京地方裁判所平成22年5月25日判決) |
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取引終了後に認知障害がある旨診断されたケースで,外務員の尋問の結果などから適合性原則違反の主張が認められた事例
|
本判決はまず,「外国為替証拠金取引は,わずかの値動きによって多額の差損益を生じるきわめて投機性の高い取引であり,同取引のこのような特質にかんがみると,同取引の取引員ないしその従業員には,取引を勧誘する相手方に,取引に参加する適格性があるかどうかを判断し,適格性に欠ける場合には,その相手方に対する取引の勧誘を中止し,既に取引を開始している場合にはこれを直ちに終了させるべき義務があるというべきであり,このような義務に違反して取引を勧誘,継続することは,不法行為としての違法性を有するというべきである。」との規範を定立し,本件では,@被害者が取引期間中一貫して積極的に電話連絡をしたことがないこと,A被害者が取引に関して質問もせず,うんうんと黙って聞く程度の対応にとどまっていたこと,B被害者が取引開始から3年後にアルツハイマー型認知症と診断されたこと,C被害者は業者の内部規制の変更に伴う再審査に際して投資に積極的ではないと評価されたのにそれ以降も40件の売買がされていることから,「原告は,本件取引当時,加齢によりその記憶力,判断力が相当程度低下しており,野口に対し,取引状況の報告を求めたり,取引について疑問に思うことを質問するための理解力すら備えておらず,本件取引期間を通じ一貫して,外国為替証拠金取引をする適格性を有していなかったのであり,原告の年齢や取引に対する対応からすれば,野口を含む被告の従業員は,本件取引開始当時から原告に外国為替証拠金取引をする適格性がないことを認識,認容していたものと認められる。」と結論した。
本件のように被害者が自身の被害を再現するなどできなくなってから被害が顕現化することも決して希ではない。このような場合には業者側から提出される証拠にはどうしても偏りが生じるだろうが,そのような制限があっても様々な事実から業者の行為の違法性を指摘することは不可能ではない。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集60巻14頁 |
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| 6 リベラインベスティメント(東京地方裁判所平成24年2月24日判決) |
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業者の破産記録から,FXの証拠金として集められた証拠金が,関連会社に流され,役員報酬などに費消されていたこと,代表者の先物取引に用いられていたこと(いわゆる手張り)が判明したことから,FX業者及びその関連会社の役員らに対して,旧商法に基づく損害賠償を求めて平成22年1月に提訴したもの。判決は,上記を認定した上,取締役は代表取締役の違法な業務執行を監視監督することなく放置し,監査役は会計監査に係る何らの措置をとることなく先物取引への流用等を放置したものとしていずれも責任を免れ得ず,役員に就任した覚えはないとか,就任していたとしてもそれは名目的なものであるなどという被告らの主張を排斥して,請求を全部認容した。
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(確定) |
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⇒金融・商事判例金融SUPPLEMENTvol.40No.4 |
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| 7 オルネフ(東京地方裁判所平成22年8月25日判決,東京高等裁判所平成23年1月20日判決) |
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CFD取引,まがい取引業者それ自体を違法であるとして被害者の遺族に対して損害の全部の賠償を命じた事例。控訴審判決は,本件取引は明白な適合性原則違反の不法行為であるとして業者らの控訴を棄却している。
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| 本件では被害者が亡くなっており,現存書面のみで適合性原則違反を立証した。判決は,口座開設申込書に75歳,年収は最低区分である300万円未満と記載されていることに加え,「投資経験は,株式現物が10年くらいで,投資信託が10年くらい,商品先物が1年くらいとされており,これらのうち現物株式や投資信託は,商品CFD取引と比べて格段にリスク幅の小さいものであり,また,商品先物取引については,他の2取引とは異なり,経験が1年とされているにも関わらず,控訴会社の担当者において具体的にその内容を把握していたことを証する証拠が提出されていない。」ことを認定し,業者の担当者は「リスクの高い取引経験があるかについて関心を払っていなかった」とし,「顧客の適合性を検討する姿勢を有しないに等し」く「明白な適合性原則違反の不法行為がある」と厳しく非難した。なお,判決は,自筆の申出書は定型的形式的なものであり適格性を裏付けるものでないと一蹴している。被害者が亡くなっている場合に現存している資料から適合性原則違反を立証するにあたって参考になるものと思われる。 |
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(一審判決,業者側控訴) |
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⇒先物取引裁判例集60巻56頁
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⇒消費者法ニュース86号193頁 |
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(控訴審判決,確定) |
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⇒先物取引裁判例集61巻148頁
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⇒消費者法ニュース87号200頁 |
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| 8 東京シティホールディング(東京地方裁判所平成19年1月30日判決) |
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| 外国為替証拠金取引業者の証拠金の分別管理に関し, 「個人投資家である顧客を対象として,外国為替証拠金取引が行われる場合,証拠金の重要性,顧客の合理的期待に鑑みれば,顧客の証拠金ないし委託金は,取引会社のそれと適正に区別されなければならず,取引会社がこれをほしいままに自己の用に供し,その結果顧客に返還することができなくなった場合には,不法行為法上の違法性が否定できない」と判示し,証拠金の流用を受けた者の不法行為責任,流用した会社の取締役,監査役の旧商法上の責任を肯定した事例 |
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(業者側控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集47巻346頁 |
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9 プロフィット・コム(東京地方裁判所平成23年11月22日判決)
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「CFD取引」について,「本件取引は原告と被告会社とが相対で自力では影響を与えることができない対象商品の相場での値段や為替レートの変動という偶然の事情により利益の得喪を争うものであって公序良俗に反する違法無効なものであり,被告会社の従業員である被告○○らが原告に対して行った本件取引に係る勧誘行為も,違法なものであっ」た,「被告○○…らは,被告会社の関東地区における組織的不法行為の拠点として東京支店を設置し,同支店においてその違法な事業の方法などについて決定し,個別の顧客に対する接触について随時意思の連絡を行って共謀し,高齢者を主な標的とする違法な事業を行っていた。」という,簡潔な理由を付して関係者らに対する請求を全部認容した事例
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| 東京支店を引き払ったので福岡に来て裁判をせよという主張を容れてされた移送決定が高裁で取り消され(下記東京高決平成23年6月1日),別裁判体で審理されて迅速に判決に至ったものであり,裁判所の「感性」の問題によって高齢者の被害の回復が大いに左右されるという,怖い実情を示す一例でもある。 |
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⇒先物取引裁判例集64巻181頁 |
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⇒消費者法ニュース91号221頁 |
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| 10 テクノ(東京地方裁判所平成24年1月18日) |
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| 「商品CFD取引」について,他の裁判例同様に取引自体が違法であるとし,その違法性を認識し得なかった旨の従業員らの主張に対しては,「被告らは本件取引がいかなる取引であるかを十分に認識していたものと認められるのであって,仮に上記被告らが本件取引についての違法性の評価を誤っていたとしても,そのことをもって責任を免れることはできるものではない」と判示して全関係者の責任を肯定した事例 |
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⇒先物取引裁判例集64巻252頁 |
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| 11 ICC,インターナショナル・カーレンシー・チェンジャーズ(東京地方裁判所平成17年10月17日判決,東京地方裁判所平成18年4月27日判決) |
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外国為替証拠金取引被害について,説明義務違反を認定して損害賠償請求を認容した事例
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被害者は高齢の姉弟で,姉は大正14年生まれの女性,他のデリックス,エー・シー・イー(と思われる)との間で取引経験あり。地主であって資産は豊富。取引期間平成15年4月から同年10月。損害約2000万円。弟は昭和4年生まれ,先物会社フジチュー(その後MMGアローズ株式会社に商号変更し,破綻。)で6000万円を奪われた経験がある(これについても訴訟を提起し尋問後に実損害に700万円の弁護士費用相当損害金を付して支払う旨の訴訟上の和解が成立)。姉が契約書を作成し,業者とのやり取りもほとんどを行っていた。平成15年末に受任,仮差押,証拠保全をして,平成16年1月に訴え提起。
判決は,弟を取引当事者と認めず,同人の請求を棄却。姉については,投機的投資的取引の経験などから1割の過失相殺をしつつ認容。これについては債権確定訴訟に請求の趣旨を変更して控訴をし,控訴審で,破産管財人との間で,姉,弟ともに実損害金額の全額を破産債権と認めるとの和解が成立した。
上記事件の弁論終結後判決言渡し期日の前にICCが破綻したため,改めて役員の不動産を仮差押して,役員,従業員らに対して訴訟を提起。結局,判決は,色々な業者から何度も何度もだまされた高齢者について3割の過失相殺をして請求を認容した。
本件は,気丈で明るい姉と,朴訥で優しい弟が,助け合って暮らしている「老人の家」に詐欺業者が群れを成して押し寄せて,受領証も交付することなく家の前の畑で泥にまみれたスーパーのビニール袋の中に入った1000万円の塊を手渡させるなどした事案であった。その状況を思い浮かべ,そのような所業ができた者の精神状況を思うとき,心から薄ら寒いものを感じ,そして,それは,強い怒りになった。彼らを救えなければ,弁護士としての価値はないとまで感じた。業者への証拠保全から預金仮差押,役員の不動産仮差押,訴訟2つ(会社と自然人)×2(1審と2審)と,心血を注いだ。1審の2判決はいずれも期待を裏切るものだったが,結果としては相当額の被害回復を得ることができた。弟さんは体が悪く,被害回復を見ることなく他界された。
本件に関する2つの判決はいずれも過失相殺をしている。しかし,これは,絶対に誤っている。老いは過失か。病は過失か。人に等しく訪れる老いを,これに乗じて金銭を騙し取った者に対してする損害賠償請求権を減じさせる理由とすることに,いかなる正義,公平があるというのか。このような判決を書く裁判所があることが,私には本当に情けなく思えて仕方がない。 |
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(被害者控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集41巻607頁 |
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⇒判例時報1951号82頁 |
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(業者控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集44巻75頁 |
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| 12 K&Kパートナーズ(東京地方裁判所平成21年10月1日判決) |
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| 「CFD取引」について,「ロコ・ロンドン貴金属取引」と同じ法律構成で損害賠償を命じた事例 |
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(業者側控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集57巻273頁 |
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| 13 ファーストエージェント(東京地方裁判所平成21年5月25日判決) |
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スポット貴金属取引の仕組自体を違法であるとして,取引益金を請求することさえ法律上許されないことを明示して損害賠償請求を認容した事例
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老夫婦が行ったスポット貴金属取引において,2000万円程度の証拠金が取引により1億円を超える状況になったが,昨年3月に,海外相場は1000ドルのところを700ドルで勝手に反対売買され,これによって1億円を超える損害を被った。本件請求は,「消された益金を含む証拠金の賠償」を求めたものである。なお,弁護士に依頼する前に和解合意書が作成され,これに基づく支払を一部受けていた。
本判決は,「消された」益金の請求を認めず,未返還証拠金相当額及びこれに対応する弁護士費用については過失相殺をせず全部賠償を命じた。
損害について,「(取引益金が消されたことについて),賭博によって相手方が負担することになった金銭債務の支払を求めることは,公序良俗に反し許されないことであり,原告らの主張する損害は,まさにこれに当たるといわなければならない。そして,賭博の結果について法がその実現に助力することができない以上,原告らが被告らに対し,上記損害の賠償を求めることは許されないというべきである。」と判示している。
取引自体が賭博であるという判断がされる可能性があるということは,利益を払ってもらえない可能性があることになるのが当然であるが,この問題が顕在化した判決である。利益を払ってもらえないというような取引はおよそまともな金融商品取引ではない。業者は,少なくとも,利益金は裁判で請求しても支払を強制されない性質のものである(少なくともその可能性が大である)と説明する必要があるということになるが,そのような説明がなされることは常識に照らして考えられない。利益は払ってもらえないのに,違法に被った損害については過失相殺などで全額賠償してもらえないということになると,業者に,「過失相殺商法」とでもいうべき,「利益は払わずに損は一部返すという,裁判所の無理解に乗じて敢行される業者にとってのノーリスク商法(反面から考えると顧客に何の利益もない商法)」を許容することになる。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集56巻109頁 |
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| 14 日本エフエックス(東京高等裁判所平成18年11月29日判決,東京地方裁判所平成18年6月8日判決) |
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外国為替証拠金取引業者の取締役,監査役の損害賠償義務を認めて請求を全部認容した事例
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| 本判決は小会社の監査役であった被告について,「破産会社の唯一の監査役として,会計帳簿等を調査するなどして不適切な会計処理の是正を図るとともに,取締役の職務執行を監査する義務を負うところ,顧客からの預かり資産と自社の資産との分別管理がされておらず,顧客からの預かり資産が適切に管理されていなかったにもかかわらず,これを放置し,適切な会計監査及び業務監査を怠った。顧客からの預かり資産を自社資産と区別し,その保全を図ることは,外国為替証拠金取引の適正性を確保するための基本的な遵守事項であるといえるから,被告神谷が監査役としての職務を全うせず,破産会社における杜撰な資産管理を放置したことには,重大な過失があると認められ監査役として負担する上記義務を履行していれば,本件における不法行為の発生も避けることができた可能性が大きいと推認される」として,旧商法280条1項,同法266条の3第1項に基づき,損害賠償請求を認容した。 |
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(東京高等裁判所平成18年11月29日判決
業者側上告,上告受理申立,確定) |
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⇒先物取引裁判例集46巻475頁 |
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⇒消費者法ニュース70号196頁 |
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(原判決。業者ら控訴) |
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⇒先物取引裁判例集44巻374頁 |
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| 15 キャピタルベネフィット(東京地方裁判所平成17年11月11日判決) |
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| 外国為替証拠金取引の仕組自体を公序良俗に反するという判断を詳細な理由を付して示したもの。このような判断が早期に積み重ねられていれば,外国為替証拠金取引被害の急増は,あるいは防げたかも知れない。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集41巻716頁 |
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⇒判例時報1956号105頁 |
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| 16 ファーストエージェント(東京高等裁判所平成20年3月27日判決,東京地方裁判所平成19年10月25日判決) |
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| ロコ・ロンドン貴金属取引(貴金属スポット取引)が違法な賭博行為であり,仮に被害者において本件取引の仕組みやリスクを理解して任意に取引を行ったとしても,被害者を顧
客として取引(違法な賭博行為)に勧誘しこれに誘い入れた点において,その勧誘行為を実際に行った従業員及び取締役らは民事上の不法行為責任等を負うとした事例。原審判決は,賭博にあたらないなどとして請求を全部棄却していた。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集51巻175頁 |
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⇒消費者法ニュース76号256頁 |
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| 17 あさひアセットマネジメント(東京地方裁判所平成21年3月25日判決) |
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「貴金属スポット保証金取引」について業者の役員・従業員らに対して損害賠償を命じた事例
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| 本判決はこの種取引の違法性阻却事由の存否について, 「仮に,本件取引が,特定商取引に関する法律施行令3条3項,別表第三の21ロ「物品についてあらかじめ約定する価格と将来の一定の時期における現実の当該物品の価格の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引」であり,「当該取引の決済に必要な金銭の預託を受けるもの」に当たるものとして,特定商取引に関する法律2条4項にいう「指定役務」に該当するとしても,特定商取引に関する法律施行令の規定は,本件取引と同種の取引にクーリング・オフなどの制度を適用させて迅速かつ簡易な被害回復を可能にしようとの趣旨から出たものであるから,同法2条にいう「指定役務」に該当することが,法令又は正当な業務行為として違法性阻却事由になると解することはできないと判示している。 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース80号266頁・336頁 |
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⇒先物取引裁判例集55巻177頁 |
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| 18 あさひアセットマネジメント(東京地方裁判所平成21年4月10日判決) |
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| 上記12同旨 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース80号268頁・341頁 |
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⇒先物取引裁判例集55巻345頁 |
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| 19 K・モンスター(東京地方裁判所平成21年3月16日判決,東京地方裁判所平成21年6月29日判決,東京高等裁判所平成21年7月15日判決) |
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| ロコ・ロンドン貴金属取引について賭博として違法であるとして関係者に対して損害賠償を命じた事例。再生債権確定訴訟の判決及び控訴審判決は,業者の従業員がキャッシュカードを預かって勝手に金を引き出したと認定している。また,再生債権確定訴訟の判決は,無断引出しにかかる損害が自己の預金債権を害されたことを原因とするか兄の預金口座を害されたことによる損害賠償請求権を譲り受けたことを原因とするかについて主張を付加したとしても民事再生法108条に反しないと判示している。 |
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(被害者控訴,控訴請求認容) |
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⇒先物取引裁判例集55巻97頁 |
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(再生債権確定訴訟。確定) |
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(控訴審判決。確定) |
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⇒先物取引裁判例集55巻110頁 |
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| 20 プロフトラスト(東京地方裁判所平成21年10月5日判決) |
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| ロコ・ロンドン貴金属証拠金取引被害事案について,スワップポイントとして受領した金額を損害から控除しなかった事例 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース82号228頁 |
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⇒先物取引裁判例集57巻283頁 |
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| 21 プロフィットコム(東京地方裁判所平成21年12月16日判決) |
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| ロコ・ロンドン貴金属取引について違法性を簡潔に判示した上,短期間の先物取引経験がある者についても従業員が違法賭博であることを説明していないで勧誘していることとの均衡等から過失相殺をすることは公平ではないとして請求を全部認容した事例 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集58巻326頁 |
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| 22 プロフトラスト(東京高等裁判所平成24年4月26日判決,東京地方裁判所平成22年6月10日判決) |
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「スポット貴金属取引」それ自体が違法であるとして関係した従業員に対する請求を全部認容した事例
控訴審判決は,海外業者への「仲介」をうかがわせる証拠のようなものもあるものの,それは,プロフ社のカバー取引であるかも知れず,やはり本件取引は仲介ではなく相対であり,仲介取引であることを前提とする主張は前提を誤っているとし,このような取引は市場価格の範囲内で行われているものであっても,まさしく「偶然の事情によって利益の得喪を争うもの」である,とし,途中で担当から外れていたから担当であった時機の損害についてのみに責任が限定されるべきであるとの主張(当該従業員が担当であった時機には100万円程度しか損失が現実化はしていなかった)に対しては,「本件取引は前記のとおり公序良俗に違反する違法な取引であり,プロフ社は,組織的な営業行為としてこの違法取引を行っていたものであり,同社が比較的小規模な組織であると見られることも考慮すれば,各従業員がそれぞれプロフ社の組織の一員として同社がかかる営業行為を行うことを支えていたということができ,各従業員は,ある顧客を直接に担当していたといないとにかかわらず,従業員という立場でプロフ社の会社ぐるみの違法行為に加担し」たものとして責任は免れ得ないとし,直接の利得の帰属主体ではない従業員個人に対する請求について,最判平成20年6月24日に照らしてスワップポイントとして支払われた金額を損害から控除しないという原審の判断も維持して控訴を棄却した。
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(控訴棄却) |
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(業者側控訴) |
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⇒先物取引裁判例集60巻29頁 |
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| 23 ハーベスト・フューチャーズ(東京地方裁判所平成17年7月12日判決) |
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| 公設の商品取引員が行っていた外国為替証拠金取引について,取引自体が違法なものと解されるとして過失相殺をせず,損害賠償請求を全部認容した事例 |
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(業者控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集40巻506頁 |
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| 24 リベラインベスティメント(東京地方裁判所平成17年2月1日判決) |
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| 外国為替証拠金取引業者が,清算金の返還を拒んだ事例。 |
| 取引の終了を求め,清算金残が生じたところ,「精算金」についてすら任意に返還してこなかった事例。請求が認容されるのは当たり前のことであるが,業者は,精算金は1780万円となったことは認めるが,これを返還する義務はないとか,損害賠償について話し合いが成立しなければ精算金も支払わないとか,取引が終了されたことにより業者に得べかりし手数料利益の損害が生じる(取引を続けてくれればもっと手数料が入ったのだからその分を賠償せよ)などという,およそ主張として成り立ちうる余地のない主張をするまでして精算金の返還を拒んだ。外国為替証拠金取引問題の訴訟では,業者側代理人の,このような異常な訴訟活動がしばしば見られた。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集40巻107頁 |
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| 25 サンワ・トラスト(東京地方裁判所平成18年1月24日判決,東京地方裁判所平成18年8月30日判決) |
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外国為替証拠金取引について,取引の終了を申し出たところ,架空の取引が後付で作出されたと認定され,損害賠償請求が全部認容された事例
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平成16年8月5日に業者に電話をかけて取引をやめると告げて了解した旨の返事を得たにもかかわらず,翌日電話をしてみると,「あなたのお金はもうありません。」。驚く被害者に対して,「2か月前に取引をしたじゃないですか,それで2700万円損が出ていますから。」という従業員(業者取締役)の言葉があり,数日後,2か月前に取引をしたという報告書が郵送されてくる。今更なんでこんなものが,とあわてても,後の祭り。「こんなの知らない」,「でも損が出てますから」というやり取りで埒があかないうえ,精算金として残っているという500万円も何だかんだと言って返金しようとしない。結局,800万円を受領して一切の精算をするという和解書を作らされてしまったという事案。誰がどう考えても違法であることは明らかである。しかし,裁判所が,このようなあからさまな違法を正面からきちんと認定してそれが違法であるという当然のことを言い切ってくれたのはうれしい。外国為替証拠金取引業者というものはここまでのことさえも厭わない存在であったのだ,ということが裁判例にきちんと残されなければならない。そして,このような悪質な被害は,「私的差金決済取引も法律で禁止されていなければ構わない」という誤った認識が広まったこと,同旨の判断を示す裁判例すらあったことに起因することに,今更ながらに想到される必要がある。
なお,破産会社に対する債権確定請求訴訟の判決は,本判決同旨を言う上,「さらに観点を変えれば,岡田及び藤田によって,夫が交通事故の保険金として受け取った5000万円程度の預金のうちのかなりの額を本件取引につぎ込まされ,被告藤田において,架空である本件問題取引を作出した上で,岡田及び藤田において,和解に合意しなければ精算金の支払いを拒否するという方法で,強いて原告に本件合意をさせ,それによって,サンワ・トラストのいう和解金という名称で返還を受けた金額が本件問題取引によって作出された損失額に比較してかなり小額であることなどの諸事情を考慮すれば,本件合意をもって,原告のサンワ・トラストに対する不法行為に基づく損害賠償請求権が消滅したと主張することは,権利の濫用に該当するというべきである。」と判示している(東京地方裁判所平成18年8月30日判決)。和解合意の効力について,「権利の濫用」を理由に否定した裁判例はほとんど見られず,今後の被害救済実務に参考になるものと考えられる。 |
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(役員らに対するもの一部確定,一部控訴) |
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⇒先物取引裁判例集43巻66頁 |
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(債権確定訴訟,確定) |
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⇒先物取引裁判例集45巻392頁 |
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(控訴審判決,確定) |
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⇒先物取引裁判例集46巻320頁 |
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| 26 日本エフエックス(東京地方裁判所平成19年1月24日判決) |
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| 外国為替証拠金取引の取引自体の違法性から,取締役,監査役,従業員の損害賠償責任を肯定した事例。 |
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(控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集47巻323頁 |
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1 日興グランダム(東京地方裁判所平成19年11月30日判決)
※極めて興味深い |
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証券取引法,グリーンシート銘柄規制の趣旨などから,未公開株商法は詐欺商法であると推認されると判示して,業者・役員らに対する損害賠償請求を認容した事例
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| いわゆる取締法規論は意識されなければならないものではあるけれども,証券取引法が定めていた(現行の金融商品取引法が定めている)登録制度は,様々な証券取引規制(一般投資家の保護をその大きな目的の一つとしている)の実効性を担保する基本となる制度であり(規制の違反は行政処分(その最も重いのが登録取消処分)によって担保されているという構造である),無登録営業の存在を認めることは膨大な個別規制の全てを免れる取引の存在を認めることに他ならず,健全な証券取引秩序と全く相容れない金融商品まがい取引の存在を許すことに他ならない。無登録営業は,類型的に一般投資家の利益を害するものとして,私法上もその効果が否定されるべきである。取締法規及びこれを受けた自主規制の存在のみでなく,これらの趣旨を検討した上でその効果(推認過程)を検討する上記判旨は,極めて説得的であり,けだし正当である。 |
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(業者ら控訴,控訴棄却,確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト30巻421頁 |
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⇒判例時報1999号142頁 |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻415頁 |
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⇒国民生活センター「消費者問題の判例集」 |
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2 イージーモダンワークス(東京地方裁判所平成22年6月28日判決)
※極めて興味深い |
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いわゆる「小菅一派」が販売行為をしていたという主張がされた銘柄の株式発行会社及びその役員らについて,株式公開準備室の設置や同名義の銀行口座を開設などから共謀があったものと認定し,取締役の辞任登記後に生じた損害についても責任を負うものとして共同不法行為責任を認めた事例
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本判決は,訴外鷲尾との共謀について,「当面上場する予定のない被告会社において,上場に向けた部門である株式公開準備室を設置したり,ましてや,株式公開準備室名義の銀行口座を開設したり,印鑑を作成する必要はないのに,被告越後はこれらに承認を与え,実際に承認に基づき開設された株式公開準備室口座は亡○と被告会社との間の本件取引に利用されているほか,被告越後において,当面上場の予定がないのに被告会社の株式が上場間近であるとして販売されていることを認識していながら,訴外鷲尾に株式の販売状況について説明を求める等したものの,それ以上格別の対策をとっていないことなどからすると,被告越後は,少なくとも,訴外鷲尾が当面上場の予定もない被告会社の株式を上場予定と告げて販売することを認めていたものといわざるを得ず,当面上場予定のない被告会社の株式を,近日中に上場予定であると偽って,不特定多数の者に販売する(一般的にこのような場合,近日中に上場されることによる価値を価格に反映させて販売するので,株式を実際の価値より高額で販売することになる。)ことについて共謀があったと認めるのが相当である。」と判示したうえ,
取締役らの責任について,「なお,被告浦田は,亡○と被告会社との間の本件取引開始の約5か月前に同社の取締役を辞任しているものであるが,上記認定のとおり,本件不法行為の未公開株式販売スキームの構築に関与し,営業所としての実体がない東京営業所に赴任して積極的に未公開株式の売却に関わり,辞任の際にその後の被害の拡大防止について見るべき措置をとっていないことなどにかんがみると,取締役辞任後まだ日が浅く本件取引時点において共謀関係が消滅したとはいえない本件について責任は免れない。また,被告眞鍋についても,本件取引開始前に被告会社の取締役を辞任しているが,その時期は本件取引開始時期のわずか3か月前であり,被告会社の取締役として本件不法行為の未公開株式販売スキームに共謀して加わっていた以上,辞任の際にその後の被害の拡大防止について格別措置を講じたとの事実が認められない本件について責任は免れない。」と判示している。
近時被害の顕現化が急増している「株式会社SII」(小菅・鷲尾・木村一派)による被害群に関する熟した裁判例であり,同組織が関与していると考えられる銘柄の被害事案(イー・マーケティング,ユーエスセキュリティー,ブレイネ,イー・ステージなど)についても参考になると思われる。
また,登記簿上の退任時期によって直ちに責任が画されることは適切でなく,刑事法上の「共犯関係の離脱」などの考え方を用いて因果関係の断絶があるか否かを考えるのが適切である。本判決はこの点についても議論を活発化させることとなることが期待される。 |
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(業者側控訴,和解) |
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⇒判例時報2088号97頁 |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻253頁 |
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3 カンボジア開発合同会社(旧TAKE合同会社),HUMAN KNOWLEDGE(旧HK INVESTMENT),パイオニアワールド(東京地方裁判所平成24年1月25日判決)
※極めて興味深い |
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| 劇場型詐欺商法(未公開株商法)に使用された携帯電話のレンタル業者について,「レンタル携帯電話を犯罪行為に利用しようとする者は,レンタル事業者に対して提示する運転免許証等の公的証明書を偽造することは容易に想定されるのであるから,携帯電話のレンタル事業者は,借受希望者から,本人確認のために運転免許証等の公的証明書が提示された場合には,それが偽造されたものであるか否かを慎重に調査すべき高度の注意義務を課せられていると解するのが相当である」との規範を示し,免許証記載の住所が存在しないものであったり免許の取得年月日に矛盾する記載があったなどの本件事情の下では,本人確認義務に看過し得ない過失があり,詐欺行為を過失により幇助したものであるとして損害賠償を命じたもの。判示は現在の状況及び携帯電話不正利用防止法の改正の趣旨などを踏まえた説得的なものであり,昨今のこの種詐欺商法にレンタル電話が用いられている状況に正しく警鐘を鳴らす,画期的な判決である。これを機に,社会的相当性にそもそも乏しいものとも思われる(携帯)電話のレンタルという業態について,より適切な規制が及ぼされ,少なくとも,本人確認が適正・厳格になされるようになることが期待される。 |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.39 |
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⇒先物取引裁判例集64巻422頁 |
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| 4 未来ねっと(東京地方裁判所立川支部平成24年3月22日判決) |
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| いわゆる買取仮装型劇場型未公開株詐欺事案で,発行会社が株式代金について被害者との間で執行受諾文言付公正証書を作成し,これに基づき強制執行(預金債権に対する差押え)を行ってきたという新たな手口による被害事案。請求債権は2000万円余,実際に差し押さえられた口座の預金債権は20数万円であった。本判決は,被害者がSVS証券(買取仮装業者)に欺罔されていたことを認定した上で,被告会社が被害者らからの電話や書面の連絡のみで1000万円以上もの多額の株式の買付に応じる積極的な姿勢を示していること,(本件原告やその他の同一業者の同種被害者のうち判明しているものを合わせただけでも)発行済み株式の約4割を何ら縁故も面識もない70歳以上の高齢者に,被告株式取得の理由や経緯等質問もせず取得させようとしていること,被告が原告やその他の被害者ら以外の相当数の者との間でも事案が類似する紛争を抱えていることなどの事実を認定し,「被告は,原告が株式の換金性その他,投資としての重要事項に関し,SVS証券,RBC証券その他の者の詐欺によって,錯誤に陥っている可能性を認識しつつも,強引にでも原告に株式買付金を支払わせて,自己の自由となる資金を確保するため,原告が錯誤によって意思表示することを容認,歓迎し,何ら原告の錯誤を是正することなく,かえって本件契約の締結や株券の交付で原告の誤信を強め,後日,原告が錯誤に気付いて,株式買取金を任意に支払おうとしなくなることを見越して,本件執行証書の作成等の措置も講じており,SVS証券による詐欺を容易にさせる行為をしており,被告には悪意があったと認めるのが相当」であると判示して買取仮装業者から原告に対する詐欺を認め,買取仮装業者を第三者とし,発行会社を悪意とする第三者詐欺(民法96条2項)に基づく取消を認めて,請求異議(上記公正証書の執行力の排除)を認容した。第三者の詐欺という法律構成の採用は興味深く,同種事案の迅速な被害救済に有益な示唆を与えるものであると思われる。弁護士間の連携が大きく役立った事案でもある。 |
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| 5 H4O(東京高等裁判所平成24年2月29日判決,東京地方裁判所平成23年11月22日判決) |
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| 自社株販売型の未公開株商法につい て,発行会社の関与を認定して,組織的に勧誘・販売が行われていたとし,発行会社及び役員らに対して,不法行為及び会社法上の責任を認めた事例。控訴審でも,詳細な事実認定(未公開株式の譲渡先不明,領収証不存在,不自然なクレーム対応など)がなされ,原審の判断が維持されている。 |
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(控訴棄却) |
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(業者側控訴) |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻124頁 |
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6 ランサーテクノロジー(東京地方裁判所平成22年12月22日判決,東京高等裁判所平成23年6月8日判決)
※極めて興味深い |
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未公開株商法に必要な道具(未公開株式,携帯電話)を提供した者について,その道具の提供自体が未公開株商法の「幇助」にあたり,共同不法行為責任を負うと判示した事例
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控訴審判決は,株式が近い将来公開される予定のない未公開株式であって投資家に有償で譲渡することは極めて困難なものであったのであるから,たとえ発行会社の役員らが被害者に株式を売り付けたブローカーらと面識がなかったとしても,本件株式がブローカーに転売され,さらに一般投資家に価値のあるものと誤信させるなどして売りさばかれることを認識・容認して自らの資金調達の目的を達成したものというべきであり,このような行為はブローカーの違法行為を幇助したものと認めるべきであると判示している。
未公開株の販売会社ないしブローカーに対して,自社の未公開株を発行,交付していた発行会社(ランサーテクノロジー)に対し,発行会社による未公開株の交付行為自体が未公開株商法の幇助にあたるとして,発行会社に対して共同不法行為責任を負わせ,未公開株商法に利用されたプリペイド式のレンタル携帯電話の契約名義人(同被告は知人に渡した運転免許証の写しが悪用されたと主張していた。)に対しては,運転免許証の写しを渡すことによって,その受領者が携帯電話レンタル契約の締結をすることができ,ひいては未公開株の販売勧誘を容易にさせたということができるから,運転免許証の写しを渡すこと自体が,未公開株販売の幇助にあたるとして,共同不法行為責任を負わせたもの。
詐欺商法に必要な道具(未公開株式,携帯電話)を提供した者について,その道具の提供行為が詐欺商法の「幇助」にあたり,共同不法行為責任を負うと判示した点が興味深い。
近時の詐欺商法は,氏名不詳者が他人名義で詐欺商法に必要な道具(預金口座,電話番号,バーチャルオフィス)を用意して実行することが通例であり,実行行為者の責任を問うことは必ずしも容易でないところ,これら詐欺商法に必要な道具を提供した者に対して「幇助」責任を認めた点に本判決の意義があり,今後の有意な議論の端緒となることが期待される。
発行会社らの控訴を棄却した控訴審判決は,株式が近い将来公開される予定のない未公開株式であって投資家に有償で譲渡することは極めて困難なものであったのであるから,たとえ発行会社の役員らが被害者に株式を売り付けたブローカーらと面識がなかったとしても,本件株式がブローカーに転売され,さらに一般投資家に価値のあるものと誤信させるなどして売りさばかれることを認識・容認して自らの資金調達の目的を達成したものというべきであり,このような行為はブローカーの違法行為を幇助したものと認めるべきであると判示しており,同種事案の参考になるものと思われる。 |
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(一審判決。一部確定,業者ら一部控訴) |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻288頁 |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.28 |
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⇒消費者法ニュース87号203頁 |
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(控訴審判決。業者らの控訴棄却,確定) |
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| 7 DNAソリューションほか(東京地方裁判所平成23年1月27日判決) |
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| 自社株販売型の未公開株商法について,同株式がグリーンシート銘柄ではなく正当な価格に関する情報を得にくい未公開株式であること,同銘柄を積極的に購入する動機を生じるような事情はうかがわれないこと,結果として客観的価値評価が困難な未公開株式をその情報を入手する能力のない原告に対してその価値を大きく上回る価格で譲渡されていることから,会社側で販売が正当なものであったことを立証しない限り,取引時における株式の正当な価値を下回るものであり,その販売価格は顧客がこれを正当と誤信することを前提とした詐欺商法によるものであることが推認されるとして,発行会社及び役員らに対して,不法行為及び会社法上の責任を認めた事例 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース87号208頁 |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻105頁 |
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| 8 田村(東京地方裁判所平成24年1月16日判決) |
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未公開株の発行会社の役員について,登記事項証明書の発行済株式総数及び資本金の推移について詳細に認定し,少なくとも会社の登記を調査すれば大規模な新株発行の状況も知り得,その状況に疑いをもって確認を求めるなど対応をして未公開株の販売委託を中止させることができたとして責任を認めた事例
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⇒先物取引裁判例集64巻407頁 |
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⇒消費者法ニュース91号222頁 |
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9 アドメイン(東京地方裁判所平成22年2月9日判決)
※極めて興味深い |
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販売行為者の行為が具体的には判明しない事案について株式発行会社及びその役員らに対する損害賠償請求が認容された事例
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| グリーンシート銘柄以外の未公開株式を無登録業者が売買すること自体が強度の違法性を有する行為であり不法行為を構成させるとの理解に立ったうえで,発行会社の代表者が,未公開株式を「越前」なる人物に譲渡するに際して,@越前が本件株式を第三者にいくらで売却するかについて関心を持っていなかったこと,本件株式を購入する者がどのような者であるかも関心を持っていなかったこと(本件株式の取得候補者に連絡を取るなどの調査をすることなく譲渡承認をしていたこと),A越前又はその協力者が本件株式を第三者に時価を相当上回る価格で譲渡することを容認していたものと認められること,などの事情から発行会社の代表者は越前又はその協力者により一般消費者を含む第三者に売却されるであろうことを認識,認容していながら,越前に本件株式を売却したものと認められるから,共同不法行為責任を負うとし,販売会社の役員らは譲渡制限会社の取締役として本件株式の譲渡に係る代表者の業務執行を監視して適正に行われるようにするべき職務に違反したとして損害賠償請求を認容した。 |
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(業者側控訴,和解) |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻233頁 |
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| 10 イーマーケティング(東京地方裁判所平成23年11月30日判決) |
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| 従業員数が10数人程度の小さな会社であること,発行会社にも苦情電話が頻繁にかかっていたこと,代表取締役以外の社員も未公開株商法に関与していたこと,発行会社が債務超過でありその株式に価値がないこと,頻繁に発行済み株式数の増加・増資を繰り返しており,株式分割を行うなど不自然な資本の動きを見せていたこと,などの事情を挙げて,社内調査を行えば未公開株商法を予見(認識)することができたとして未公開株式の発行会社の取締役の損害賠償責任を肯定じた事例 |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.38 |
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11 ヒューマンユニテック,ランサーテクノロジー(東京地方裁判所平成23年2月24日判決)
※極めて興味深い |
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| 未公開株商法への関与を否定していた発行会社及びその取締役らについて,調査嘱託の結果や関係証拠を比較的詳細に摘示し,その関与を認定して損害賠償を命じた事例 |
発行会社とは別に詐欺的言辞を用いてする電話勧誘を繰り返す実行行為者が存在する場合,発行会社らからは,必ずと言って良いほど,「発行会社はそのような詐欺商法には全く関与しておらず,第三者が勝手にやったことである」旨の反論がされている。本件でも,発行会社らから上記反論がされたが,これに対して本判決は,それぞれ次のような事実を挙げて,発行会社らが主体的に未公開株商法に関与していた事実を認定した。
まず,被害者はランサーテクノロジー社名義の預金口座に未公開株の購入代金を支払っていたことから,同社が未公開株商法に関与していることが推認された。これに対し,同社は,同預金口座は第三者が勝手に開設したものであり,発行会社があずかり知らないところで管理されていたものであると反論した。この点について本判決は,銀行に対する調査嘱託の結果から,銀行は,口座開設に来た担当社員について発行会社に連絡をして在籍確認をしていること,銀行のカードを発行会社に送付していることを認定したうえで上記反論を排斥し,未公開株商法に利用されることを知りながら自社株式を売却し,あるいは,預金口座を開設した行為は,未公開株商法に積極的に加担するものであると判示した。
ヒューマンユニテックは,自社株式を販売したこと自体は争わなかったが,虚偽の事実を申し向けるなどの行為はしていないし,そのような犯罪行為をする者との関係もないと反論したが,本判決は,@上場見込みがないのに客観的価値を上回る価格で自社未公開株の販売ができたのは,ブローカーによる一見して不自然な詐欺行為があったからである,A未公開株商法に利用された口座は,入金後直ちに払い戻されるという不自然な動きをしており,なおかつ,犯罪利用口座として口座凍結がされているが,同口座を管理していたのは発行会社である,B虚偽の事実を原告に申し向けた者が欺罔行為を行いながら何らの果実を得ることなく引き下がったとするのは不自然であることなどを総合考慮して,ヒューマンユニテックが詐欺的行為に積極的に加担していたと推認するのが合理的であると判示した。
調査嘱託の結果や関係証拠が比較的詳細に摘示されており,同種事案の訴訟追行に参考になるものと思われる。 |
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(確定) |
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⇒消費者法ニュース88号320頁 |
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⇒先物取引裁判例集64巻391頁 |
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| 12 アルメデコム・インデックス投資事業有限責任組合(東京地方裁判所平成23年2月23日判決) |
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| 買取仮装型劇場型社債まがい商法事案について名義を貸したのみである旨主張した社債発行会社の役員らに対して損害賠償を命じた事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻254頁 |
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⇒消費者法ニュース88号327頁 |
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| 13 ランサーテクノロジー(東京地方裁判所平成23年3月3日判決) |
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| 自社株販売型の未公開株商法について,同株式がグリーンシート銘柄ではなく正当な価格に関する情報を得にくい未公開株式であること,同銘柄を積極的に購入する動機を生じるような事情はうかがわれないこと,結果として客観的価値評価が困難な未公開株式をその情報を入手する能力のない原告に対してその価値を大きく上回る価格で譲渡されていることから,会社側で販売が正当なものであったことを立証しない限り,取引時における株式の正当な価値を下回るものであり,その販売価格は顧客がこれを正当と誤信することを前提とした詐欺商法によるものであることが推認され,発行会社の代表者は第三者に自社株式の譲渡を依頼した際に第三者に売却することを認識していたことが認められ,販売グループが上記詐欺的手法を行うことを予見し,防止すべき義務があったのにこれを怠った,取締役らは名目的な取締役であったとしても会社法上の責任を免れることはできないとして,発行会社及び役員らに対して,不法行為及び会社法上の責任を認めた判決。 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻141頁 |
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⇒消費者法ニュース88号324頁 |
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| 14 七海ホールディングス(東京地方裁判所平成23年2月3日判決) |
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| 自社株販売型の未公開株商法について,同株式がグリーンシート銘柄ではなく正当な価格に関する情報を得にくい未公開株式であること,同銘柄を積極的に購入する動機を生じるような事情はうかがわれないこと,結果として客観的価値評価が困難な未公開株式をその情報を入手する能力のない原告に対してその価値を大きく上回る価格で譲渡されていることから,会社側で販売が正当なものであったことを立証しない限り,取引時における株式の正当な価値を下回るものであり,その販売価格は顧客がこれを正当と誤信することを前提とした詐欺商法によるものであることが推認されるとして,社外取締役である旨の主張をしたものを含む発行会社及び役員らに対して,不法行為及び会社法上の責任を認めた事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻116頁 |
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| 15 DNAソリューション(東京地方裁判所平成23年2月16日判決) |
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| 自社株販売型の未公開株商法について,発行会社の代表者が販売業者に株式を売り渡し,上場準備室の設置や販売方法に関する規程を作成し,財務局に対して売出しの届出をし,適格機関投資家特例業務に関する届出をし,株式代金送金先口座を開設・譲渡し,発行会社の取締役会は販売業者が行った一般投資家への株式譲渡を承認し,株券を交付してきたことなどの関与を認定して,会社ぐるみで組織的に勧誘・販売が行われていたとし,発行会社及び役員らに対して,不法行為及び会社法上の責任を認めた事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト39巻132頁 |
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⇒消費者法ニュース88号318頁
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| 16 アドバントレード(東京地方裁判所平成20年4月11日判決,東京高等裁判所平成20年7月31日判決) |
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| 未公開株商法の名目的代表取締役の責任を肯定したもの。弁護士費用相当損害金部分について控訴審判決が1審判決を変更している。弁護士費用相当損害金は,通常であればいわば些末な事柄であって攻防の対象にならないが,判決で予告なく減額されるということになると,これは裁判所による不意打ちであるというほかはなく,不当である。控訴審裁判所はその意を汲んだものと評価する。 |
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(控訴審判決。確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻468頁 |
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(原判決。被害者一部控訴) |
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⇒証券取引被害判例セレクト31巻406頁 |
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| 17 コンチネンタル・ウェイ,フロンティア,コンチネンタル・エム・ケー・マネージメント(東京地方裁判所平成19年12月13日判決) |
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| 証券取引法,グリーンシート銘柄規制の趣旨から,未公開株商法は公序良俗に反する違法な取引であるとして損害賠償請求を認容した事例 |
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(一部業者役員控訴,和解。一部確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト31巻375頁 |
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⇒消費者法ニュース75号185頁 |
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| 18 日興グランダム(東京地方裁判所平成20年6月20日判決,東京高等裁判所平成21年1月21日判決) |
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| 未公開株商法業者の従業員が社内での幹部構成員らによる説明や指導により未公開株式に関して誤った認識を抱いて購入した事案について幹部構成員に対して損害の全部賠償を命じた事例 |
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(一審判決。業者側控訴) |
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(控訴審判決。確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト33巻354頁 |
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| 19 イージーモダンワークス(東京地方裁判所平成21年3月18日判決) |
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自社株を販売するという形態の未公開株商法について取締役に対して損害の全部賠償を命じた事例
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自社株を販売するという形態の未公開株商法について取締役に対して損害の全部賠償を命じた事例。被告は代表者に対して苦言を呈したが代表者が聞き入れなかったなどと主張したが,判決は,「取締役である被告としては,代表者が聞き入れなければ,代表者が違法な行為をしなくなるように何らかの法的措置をとるべきであるから,やはり法的責任を免れることはできない」と判示し,イージーモダンワークスの株価が1株あたり521円程度の価値があるようであるとしながら,「資産価値が極めて低く,未公開株式は処分が困難で,処分しようとすれば費用倒れになってしまうことを考えると,実質的な財産的価値があるとはいえないから,原告の被った損害からワークスの株式の資産価値を控除するのは相当ではない」と判示して損益相殺を否定して請求を全部認容した。
なお,イージーモダンワークス及びその余の取締役らについては,1人の取締役について欠席判決を得て所得税還付請求権を差し押えた後,会社及びその余の役員らとの間で,遅延損害金を除く請求金額全額を支払う旨の訴訟上の和解が成立した。 |
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(確定) |
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| 20 イー・マーケティング(東京地方裁判所平成21年7月15日判決) |
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自社株を販売するという近時急激に被害を増している未公開株商法について発行会社の取締役らの損害賠償責任を認めた事例
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| 自社株を販売するという態様の未公開株商法が急増しているが,イー・マーケティングについては関係者が刑事摘発されており,その他の「銘柄」を販売していた組織群を含む一連の詐欺商法組織の全貌の解明が強く期待される。民事的な被害回復は,まずは,個人の責任を漏らさずに追及していくことにつきる。 |
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(一部確定,一部業者控訴,和解) |
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⇒証券取引被害判例セレクト36巻97頁 |
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| 21 新日本バイオシステムズ(東京地方裁判所平成22年7月2日判決) |
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| 未公開株商法業者の名目的取締役であったと主張する者について,「自らが取締役となる会社が,いかなる人物により,いかなる事業を営むのかを全く確認もすることなく取締役に就任したものであり,その職務(代表取締役の職務執行に対する監視義務)を行うについて重大な過失があった」として損害賠償責任が認められた事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻283頁 |
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| 22 植物燃料投資事業組合,株式会社エスポインベストメント(東京地方裁判所平成22年10月29日判決) |
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未公開株の販売会社に株式を投資事業組合員を通じて譲渡した会社について,「無登録で,一般投資家に対し,その本来的価値に比して著しく高額で,その旨を秘して販売することを認識し,若しくは容易に認識し得たにもかかわらず,販売会社に対し,投資事業組合の組合員を通じて未公開株を譲渡し,もって販売業者の上記不法行為を幇助した」として共同不法行為責任を負わせた事例
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| 共同不法行為は過失による幇助によっても成立するのであるが,その意味を誤解して「自分にはだますつもりがなかった」とか,「自分も良いように使われた被害者である」などの主張に拘泥する者がある。本人訴訟の場合には「共同不法行為」がどのような場合に成立するのかをかみ砕いて説明してやることも場合によっては必要であり,その際に「過失による幇助という概念を指摘してやることは有効であろうと思われる。 |
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(一部確定,一部被告ら控訴,和解) |
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| 23 マーケットトラスティ(東京高等裁判所平成22年8月4日判決,東京地方裁判所平成22年3月26日判決) |
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匿名組合契約商法について取締役らに対する損害賠償請求を認容した事例
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| 控訴審は少なくともこの主事案において旧商法266条の3第1項に基づく損害賠償請求をするときには弁護士費用相当損害金の賠償請求が認められるとして原判決の当該請求を棄却した部分を取消した。この点を正面から検討した裁判例は見当たらないように思われ,実務上の参考になると思われる。 |
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(控訴審判決。被害者敗訴部分取消,確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻227頁 |
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(原判決。被害者一部控訴) |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻219頁 |
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| 24 エイワンジャパン(東京地方裁判所平成20年7月11日判決) |
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| 未公開株商法について名目的代表取締役であるとの反論を排斥して請求を全部認容した事例 |
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(業者側控訴,和解) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻457頁 |
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| 25 コンチネンタル・ウェイ(東京地方裁判所平成19年8月24日判決) |
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| 未公開株商法について,名目的取締役であるとの主張を排斥したもの。 |
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(一部控訴,和解) |
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⇒証券取引被害判例セレクト30巻393頁 |
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⇒消費者法ニュース75号185頁 |
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| 26 サクセスジャパン(東京地方裁判所平成19年5月28日判決) |
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投資事業組合の形態を採用して未公開株商法を行っていた業者,役員の責任を認めた事例
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| 投資事業組合の形態を用いて,証券取引法の形式的違反を免れようとする例が多く見られたが,取引の実態を見ると未公開株商法であることが明らかなものは多い。業者が採用しているとする法律的構造に惑わされないようにすることが必要である。 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト29巻320頁 |
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| 27 アドバントレード(東京地方裁判所平成19年5月22日判決,東京高等裁判所平成19年11月28日判決) |
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| 未公開株商法について,株式発行会社の責任を肯定した事例 |
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(一審判決。一部確定,一部控訴) |
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(控訴審判決。確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト29巻310頁 |
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| 28 さくらキャピタル(東京地方裁判所平成19年1月31日判決) |
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| 未公開株商法業者の取締役が義務を尽くしたとして争った事案にについて責任を肯定した事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト29巻303頁 |
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| 29 サクセスジャパン(東京地方裁判所平成18年12月26日判決) |
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| 未公開株商法(投資事業組合の形態が採用されている被害事案に関するもの。)について取締役らの責任を肯定した事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト29巻298頁 |
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| 30 ウィンザージャパン(東京地方裁判所平成18年9月21日判決) |
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| 未公開株業者の取締役の損害賠償責任を認めて損害賠償請求を全部認容した事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト28巻85頁 |
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| 31 アルゴインベストメント(東京地方裁判所平成20年6月20日判決) |
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| 未公開株の購入を投資事業有限責任組合への出資に仮装して行わせた事案について販売業者及び組合の損害賠償責任を認めた事例 |
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(確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト31巻425頁 |
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1 東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング(東京高等裁判所平成23年12月7日判決)
※極めて興味深い |
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本判決は,原判決と対照的に,「本件各ファンドは,出資者から集められた金員が外国債券の購入などによって運用されている事実自体確証がなく,仮に当該事実が認められるとしても,投資を行うものに適正に損益を帰属させることを目標として,組成され,管理されていたのではなく,出資者から申込手数料や管理報酬等の名目で金員を徴取してOCS関係者において利を図ることを意図して組成され,運用された,投資を行うものの利益を損なう金融商品として不適正なものであったと認めるのが相当である。
そうすると,控訴人らのいうように,控訴人らが出資した本件各ファンドは,預け資産の流れもリスクの具体的な内容も明らかではない金融商品まがいの商品であったと断ぜざるを得ない。」と判示して原判決を取り消した。このように,金融商品取引の外観を有するものについて,金融商品まがいの取引であるとしてこれを「不適格商品」であるとし,その販売行為に違法性を見る構成は,珍しいものであるが,本件のような事案には実態に即した説得的な構成であると考えられる。
また,なぜに「金融商品まがい取引」といえるのかについても判示されており,このような構成が採られる場合の基礎となる事実認定にも参考になるところがある。また,本件商法の首謀者らがする,すでに関係を絶った元従業員が立ち上げた新会社による勧誘である旨の主張について,詳細な事実認定を付して実質的支配を認定してこれを排斥している点についても,事実認定の方法その他実務上参考になるところがあるものと思われる。
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(控訴審判決,原判決取消,認容) |
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⇒先物取引裁判例集64巻374頁 |
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(原判決:東京地判平成23年4月12日,請求一部棄却,被害者控訴) |
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⇒先物取引裁判例集64巻341頁 |
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2 東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング(東京地方裁判所平成20年9月12日決定)
※極めて興味深い |
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| 私募ファンド取引について取引履歴等の開示を命じる間接強制決定。極めて珍しい例であると思われる。 |
高齢者から私募ファンドへの投資金名下に金銭を騙取する業者に対して,取引履歴の開示を求める本案訴訟を提起し,業者が請求を認諾するに至った。しかしその後も任意の開示はなく,直ちに間接強制の申立を行った。執行裁判所には開示書類の趣旨であると強弁するものとして不十分な書類が送付されるなどした。損害の算定について,いわゆる「被害金額」の消滅時効期間との比率で算定するという考え方についての意見を裁判所から求められたのに対して,「裁判所は,一応損害額を考慮に入れつつも,債務の目的や性質その他の事情を考慮して,予測される損害賠償額に拘束されることなくその裁量により債務の履行を確保するため相当と認められる金額の支払を命じうるのであり,かつ,そのような観点から支払を命じる金額を決定するべきであり,本件事案において開示請求権の間接強制のための損害金を開示請求に係る取引金額に直接的に関連させて検討することは適切でない」旨の意見書を提出するなどし,本決定を得た。
結果,被害者1人あたり1日あたり15万円の損害金が認められた。金融商品会社(まがい会社を含む)に対する取引履歴等の開示に関する間接強制決定は今までないのではないかと思われ,1日15万円(3人で45万円)という違約金も正当な理由なく取引の内容や金銭授受の履歴を開示しない業者に対して開示をさせる相当の動機となりうるものと評価する。 |
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(業者執行抗告) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻154頁 |
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⇒消費者法ニュース77号176頁,同号262頁 |
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(執行抗告審決定。抗告棄却,東京高等裁判所平成20年10月2日決定,確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻157頁 |
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3 JPB,日本プライベートバンキングコンサルタンツ(東京高裁平成22年12月8日判決,東京地方裁判所平成22年5月28日判決)
※極めて興味深い |
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会社ぐるみで組織的に違法な投資勧誘行為をし,多額の損害を消費者に与えたという事案では,放漫経営ないし経営判断の誤りに基づいて第三者に損害を与えたというような事案とはその性質を著しく異にするのであるから,取締役に期待される監視監督義務は一層高度になるとして,名目的取締役の責任を認めた事例
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本件は,大規模な組織的詐欺商法事件であるJPB,ジャパンプライベートバンキングコンサルタンツの名目的取締役がその責任を争ったものであり,その余の関係者らについては支払責任があることが確定している。
配布した説明資料に「元本確保」と記載されている部分があったり,リスク説明を受けてこれを認識したかのような書面を徴求されていても,配布された説明資料の全体を読めば最低でも元本が保証されていると考えるのが通常であるなどとして違法な投資勧誘があったと認定した上,名目的取締役であるとする主張に対して,「株式会社の取締役は,代表取締役,支配人らの業務執行全般を監視し,必要があれば,取締役会を自ら招集し,あるいは招集することを求め,取締役会を通じて業務執行が適正に行われるようにすべき職責を有するところ,会社経営者との間で,就任に当たって名目上の取締役であり,取締役としての職務を果たさなくてもよい旨の合意をしていたとしても,上記職責を免れる理由となるものではない。そして,この理は,取締役会が開催されず,代表取締役が独断専行しているいわゆるワンマン経営の会社の場合でも異なるものではない。取締役において職責を尽くすことが困難であると思料するのならば,就任を拒絶し,あるいは退任をすべきであって,無報酬であることや業務や経営の内容を把握していなかったことなどを理由にして,対第三者との関係において,任務懈怠に基づく責任を免除されることはないものと解するのが相当である。殊に,本件は,会社ぐるみで組織的に違法な投資勧誘行為をし,多額の損害を消費者に与えたという事案であって,放漫経営ないし経営判断の誤りに基づいて第三者に損害を与えたというような事案とはその性質を著しく異にするのであるから,取締役に期待される監視監督義務は一層高度になるというべきであって,このような義務に違反し,代表取締役等の違法行為を漫然放置した場合は,相応の責を負わされることもやむを得ないというべきである。」と判示して業者役員らの控訴を棄却した。
名目的取締役の責任についてはいろいろな考え方があるが,本判決が指摘するように,会社ぐるみで組織的に違法な投資勧誘行為をし,多額の損害を消費者に与えたという事案において,監視監督義務をあえて尽くさなかったというのであれば,責任を負うのが当然である。本判決は,会社ぐるみでされる違法な投資勧誘被害事案における名目的取締役の責任の論点に終止符を打つものとなることを期待したい。 |
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(控訴審判決。業者らの控訴棄却) |
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⇒金融・商事判例金融SUPPLEMENTVol.27No.2 |
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⇒消費者法ニュース87号178頁 |
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(一審判決。業者ら控訴) |
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4 ファンドシステム・インコーポレイテッド(東京高等裁判所平成23年12月7日判決)
※極めて興味深い |
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| 詐欺的金融商品取引業者の事務担当従業員について,「過失による幇助責任」を認めた事例。「過失による幇助」についての裁判例は必ずしも多くなく,このような構成による責任を肯定する場合の基礎となる事実認定にも参考になるところがある。 |
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(控訴審判決,原判決取消,一部認容) |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.39
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⇒物取引裁判例集64巻309頁 |
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(原判決:東京地判平成23年1月31日,請求棄却,被害者控訴) |
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⇒先物取引裁判例集64巻300頁 |
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| 5 東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング,New Asia Asset Management,Mongol Asset Management(東京地方裁判所平成24年4月24日判決) |
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対象金融商品(まがい取引)について,「不明確で,かつ著しく大きなリスクを有する投機性の高いファンドであったというだけでなく,出資者から契約手続等報酬の名目で金員を徴収し,出資者の利益を犠牲にして被告東京プリンシパル関係者の利を図ることを意図して作成,運用されていた,出資者の利益を損なう不適正な金融商品であった」などとして,実質的支配者を含む関係者らに対して損害賠償を命じた事例
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| 6 あいであ・らいふ(東京地方裁判所平成22年9月27日判決) |
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雑誌「月刊頭で儲ける時代」の発行により投資勧誘を行っていた「あいであ・らいふ」(破産)に対して,その勧誘態様に,投資の実態について殊更に出資者に有利な情報のみを強調し,リスクを説明せず,投資意欲をあおるものであって,投資勧誘者に課された注意義務を怠った違法があるとして査定決定を変更して損害賠償請求権を認めた査定異議審判決
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「あいであ・らいふ」は,「月刊頭で儲ける時代」臨時増刊号等を通じて,一般消費者に対して数多くの出資案件を募集していた。しかし,「あいであ・らいふ」の破産手続中,破産管財人の調査によって,勧誘が行われた各投資案件の事業成立度が非常に低かったことや,投資案件に出資された金員の一部を「あいであ・らいふ」が自社で流用していたこと等が判明するなど,数々の問題点が浮き彫りにされた。
また,「あいであ・らいふ」が発行していた雑誌「月刊頭で儲ける時代」臨時増刊号等における勧誘は,「トレードチェックシステム社に出資すれば,上場時に巨額のキャピタルゲインを得られる。」といった過大な宣伝文句が並べられて行われる一方で,投資のリスク等については何ら具体的な説明を行っておらず,投資勧誘者に課された説明義務を著しく怠っていた。
このような状況において,「あいであ・らいふ」の破産手続において,破産管財人は,同社が営業者となる匿名組合へ出資した者については,匿名組合契約終了に伴う出資金返還請求権として破産債権と認めたものの,上記違法勧誘を受けて他の事業に出資した者に対しては,出資額相当損害金について破産債権(不法行為に基づく損害賠償請求権)と認めず,これを不服とする査定申立てに対して破産裁判所は0(ゼロ)査定をしたことから,査定異議訴訟を提起した。
本判決(査定異議審判決)は,「あいであ・らいふ」による勧誘行為は,投資の実態について殊更に出資者に有利な情報のみを強調し,リスクを説明せず,投資意欲をあおるという投資勧誘者に必要な注意義務を怠った不法行為に該当すると判示し,本件投資勧誘は,未公開株が上場すれば多額のキャピタルゲインを得られるという内容であったところ,「雑誌には当時の対象会社の貸借対照表が記載されており,これを見れば当時対象会社は債務超過に陥っているのであるから,投資のリスクは十分に表示されていた。」という被告の主張について,当該貸借対照表が1頁の4分の1程度のスペースで記載されているだけであって補足説明がなにもされていないから,これを読んだ一般読者が投資のリスクを読み取ることはおよそ期待できないと判示して排斥し,損害賠償請求権を認めた。
本判決は,リスク説明がされていたか否かについて,書面の表示・記載の内容を具体的・実質的に検討して判断しており,説得力を有する。
なお,4割の過失相殺がされたことから,これを不服として控訴し(双方控訴),控訴審では本判決を上回る和解(減額を2割とするもの)が成立した。 |
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(双方控訴,和解) |
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⇒先物取引裁判例集61巻52頁 |
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⇒消費者法ニュース87号186頁 |
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| 7 アイ・ベスト(東京地方裁判所平成23年5月27日判決) |
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| 商品投資販売業社が販売していた「不動産ファンド」などについて,従業員が会社から言われたとおりに勧誘したのみであると主張したのに対し,営業担当者としては会社から資料に基づいてその具体的な根拠について説明を受け,投資商品の運用状況を調査確認すべきであって,会社の説明を鵜呑みにして投資商品を販売しても過失がないというべきではないとして役員ら及び従業員に対して損害賠償を命じた事例 |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.31 |
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⇒先物取引裁判例集64巻329頁 |
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⇒金融法務事情1945号金法判例Digest第50回−2 |
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| 8 サンラ・ワールド(東京高等裁判所平成23年5月26日判決) |
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様々な海外投資案件があると称して巨額の出資金を集め,刑事摘発もなされた業者について,関連組織との関係を認定して業者・役員らに損害賠償を命じた事例。原判決は,投資の媒介者は,法令上の根拠などの特段の事情がない限り説明義務を負わないなどとして請求を棄却していた。
なお,弁護士費用相当損害金部分の判断に裁判の脱漏があったため追加判決がなされている。 |
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(控訴者追加判決) |
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(控訴審判決。原判決変更,被害者上告受理申立) |
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(原判決。控訴,変更) |
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| 9 東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング(東京地方裁判所平成23年5月31日判決) |
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| ケイマン諸島に存在すると称する法人によるファンドの投資資金名下に金銭を集めていた業者ら(役員・従業員ら)に対して損害賠償を命じた事例 |
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(業者側控訴,控訴棄却(東京高等裁判所平成23年10月26日判決)) |
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⇒先物取引裁判例集63巻207頁 |
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| 1 支店不特定執行(東京高等裁判所平成23年3月30日決定ほか) |
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預金債権の差押命令申立にあたって差押債権の表示に「複数の店舗に預金債権があるときは,支店番号の若い順序による」旨の記載をして差押債権を特定する方法の可否(積極)
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預金債権の差押命令の申立に当たっては,取扱店舗を特定(限定)しなければならないとするのが実務の基本的取扱であり,複数の支店を限定列挙する方式を認めた決定例はいくつか見られるものの少数にとどまっており,全店無限定列挙方式(全取扱本支店を本支店番号の順位で順位付けをして「特定」する方式)を許容した決定例は皆無であった。しかしながら,支店を限定する執行は差押債権者に著しく大きな不利益をもたらす。
少しでも不利益を軽減させるために,預金契約の存否さえも不明な取扱店舗を盲目的に選んで「割り付け」をして執行手続を行うなどといういかにも不健全な運用が実務上一般的に行われてさえいるが,そもそも,本店支店の関係にすぎないのに預金債権のみ支店毎に分断する運用が維持されるべきというのであれば,それは,著しく発達した預金管理システムのもとでもなお負担が過大である旨の主張立証が銀行から不断になされなければならないだろう。そうして始めて議論がかみ合い,深まり,実務が実情に即したものとなりうる。そのような状況を欠いている以上,支店の特定(限定)を求める実務のあり方には正当性に乏しいように感じられた。
電子的記録によって預金が管理され,コンピューター上で預金口座に関する出入金情報が管理されているということは,およそ,常識に属する事柄である。いわゆる金月処理スキームやCIFの詳細を検討するまでもなく,本店で名寄せができないなどということはおよそ想定しがたいものといわなければならない。銀行を第三債務者として取扱支店を限定(特定)せずにする預金債権差押命令の申立は一般的に許容されるべきものであるし,この種の申立に円滑に対応するために望ましい検索事項として挙げられることが多かったという「生年月日」,「読み仮名」を「住所」・「氏名」に加えて一義的に特定している場合にはなおさらである。さらに,予め債権者において債権者が債務名義を有すること及び預金債権差押命令申立のために必要もしくは有用であるとし,回答がなされない場合には取扱支店を限定(特定)しないでする預金差押命令の申立をする旨記載して債務者の預金口座の存否及び取扱支店等について弁護士法23条の2に基づく照会がなされたにもかかわらず,第三債務者があえて強制執行手続を不能にするに等しい債務者の同意などを求めることによって事実上これに違法に回答しないことから取扱支店が限定(特定)されていないような場合には,「特定」を要求する趣旨である「公平」の観点に今一度立ち返って考えれば,差押債権の特定に欠けるというべきではない。
このような考えに立って実務の変容を迫るべく,平成22年8月からこの論点への取り組みを始め,静岡地下田支決平成22年8月26日が我が国で初めて全店無限定列挙方式を許容したのを皮切りに,同旨決定例が地裁レベルで散見されるようになり,平成23年に入ると,高裁レベルでも同旨判断が相次いで示されるようになった。
CIFシステム等のみを指摘してする発令には,若干の抵抗感が持たれないではない。システムの詳細は必ずしも外部からは分らないのであるし,それが差押手続との関係で用いられたときにどのような負担を金融機関に強いることとなるのかという点には,まだ不透明なところがあるとも思われないではないのである。CIFなどを云々するのみでは,そこで検索されない預金はどうなるのかという問題も生じる。そこで,まずは,「公平の観点からの特定性の要求」というところに着眼して,ふりがなや生年月日の記載と特定との関係を指摘したり,23条照会を先行させて取扱支店を限定できないことの「責任」の所在を明らかにするなどして,価値考量としても異論のない判断が積み上げられていくのが望ましいと考えたのである。このような観点から,東京高決平成23年3月30日は,決定理由として最も望ましいものと考えていた。
この論点については,高裁の決定例が分かれ,最高裁判所への抗告を許可する決定が複数なされた。最高裁判所が熟した,かつ,申立てをめぐる様々な事情の差異や今後の事情の変化の可能性等に深く配慮した判断を示すことが強く期待されたが,当職らが担当した許可抗告審の決定2例(最三小決平成23年9月20日,平成23年(許)第28号,同37号)は,いずれもただ執行抗告を棄却した原審の判断を正当として是認することができるとのみいうものであり,その理由は何ら付されていないものであった。この論点についてこのような判断しか示されないことには失意を禁じ得ず(他の同種事案についても23条照会との関係などに言及するような熟した理由は付されていない。),この感覚は多くの実務家に共有されうるものと思われる。そうしたところ,やはり,この最決の射程を限定的に解して,預金債権執行における「特定」を当事者の公平の観点をも併せて考えようとする動きが早くも現われている(東京高決平成23年10月26日金法1933号9頁・金商1380号52頁は,複数の店舗に預金債権があるときには預金債権額の最も大きな店舗の預金債権を対象とする旨の特定方法を採ることを許容したのである。)。今後,なお裁判例や実務の動向が注目されるところである。
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東京高裁平成23年3月30日決定 |
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⇒金融・商事判例1365号40頁 |
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⇒金融法務事情1922号92頁 |
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静岡地裁下田支部平成22年8月26日決定 |
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⇒金融法務事情1913号6頁 |
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⇒消費者法ニュース86号289頁 |
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⇒先物取引被害全国研究会編「詐欺的金融商品取引業者からの現実的な被害回復に向けて」(以下,「被害回復」)199頁 |
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水戸地裁龍ヶ崎支部平成22年9月28日決定 |
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⇒金融法務事情1913号7頁 |
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⇒被害回復222頁 |
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PDF意見書:取扱支店の特定をしないでする預金差押命令が発令されるべきことについて |
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東京高等裁判所平成17年6月7日決定 |
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⇒金融・商事判例1227号48頁 |
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かつての却下例。当時の判例解釈の状況は現在とはまさに隔世の感がある。 |
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最高裁判所平成23年9月20日決定(同庁平成23年(許)第28号) |
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⇒金融法務事情1931号35頁 |
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⇒金融・商事判例1376号26頁 |
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最高裁判所平成23年9月20日決定(同庁平成23年(許)第37号) |
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⇒金融法務事情1931号35頁 |
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⇒金融・商事判例1376号29頁 |
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いずれもただ執行抗告を棄却した原審の判断を正当として是認することができるとのみいうものであり,その理由は何ら付されていない。同日付の別の決定((許)第34号)は,預金検索との関係について一定の説示をするものの,補足意見を含め,債権の特定が公平の観点から求められるものであること,23条照会に応答しないことから負担が増加するとしてもそれは自ら自招した結果であるというべきではないかと考えられることについては,何らの説示もしていない。下級審実務はいったんこの種申立を否定する方向に向かうことになろうが,この論点についてこのような判断しか示されなかったことには,この1年で盛り上がりを見せた動きの原動力となった問題意識に正しく想到されないまま(あるいは,これを理解した上であえて)いわば「お茶を濁す」ような判断がなされたように感じ,失意を禁じ得ない。一連の下級審決定群によって示された問題意識が広く共有され,実務の取扱いが現状に即したものに変容されていくことを期待したい。 |
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| 2 保険証券番号不特定執行(東京高等裁判所平成22年9月8日決定) |
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生命保険解約返戻金請求権等の差押えにおいては,従前,保険証券番号の特定が必要であるとされ,これを欠くときには不適法な申立てとして却下されていた。しかしながら,債務者と第三債務者の間にいかなる保険契約が存在するのか,存在するとしてその保険契約に係る証券番号その他の詳細は通常は債権者に知りうるものではないから,証券番号の特定を求めるときには,価値その他の観点から差押えの現実的な対象となりうる保険解約返戻金等が,事実上の差押不能財産となってしまうことになる。
そもそも,保険契約は,長期間継続することが一般的であり,契約期間中に契約者自身が証書を紛失することもあれば,病気や事故で記憶や判断力が失われることもあるし,死亡することも契約の性質上当然に想定される。保険会社は,日常的に保険契約を特定する作業をせざるをえない業態であり,その業務においては氏名,住所,生年月日から保険契約を検索探知しているのである。
また,「終身保険,定期保険のほか,年金保険,医療保険及び学資保険等の多数の種別」は,法律によって定められているものではない。法律上,保険の種類は,保険法による生命保険,損害保険,傷害疾病定額保険の3種類の区別しかないが,各保険会社は,様々な保険商品を開発しており,その名称も,個々の保険会社が自由に名付け,同様の内容の保険でも会社によって,また同じ会社でも時期によって名称が変更されることがある。「契約の種別」は個々の保険会社が開発した商品の商品名にすぎないのである。
弁護士法23条の2に基づく照会(23条照会)への現実の対応状況も預金債権についての銀行のそれとは全く異なっている。すなわち,簡易生命保険を含む生命保険の全てについてその詳細を調査するための23条照会は,氏名及び生年月日と住所地(及び旧住所地)が特定されていさえすれば原則として回答がなされる運用になっており,23条照会のマニュアルなどのいずれにも,必ず,生命保険協会への一括照会の書式が載っていて,生命保険協会自身も弁護士会宛てに同協会に照会して欲しい旨文書で要請しているところであり,生命保険会社にとって照会に回答することは日常業務となっているのであって,この点で預金口座の照会が定型的に行われていない預金の取扱支店の限定の問題とは,全く状況を異にするのである。このこと自体が,すでに,保険会社において契約者の氏名・生年月日及び住所地さえ明らかになれば保険契約を探知・特定することが容易にできることを示している。
これらの問題意識を持ってした申立てについて,東京高決平成22年9月8日金商1354号38頁・金法1913号92頁・消費者法ニュース86号287頁・判タ1337号271頁・判時2099号25頁は,大要,以下のとおり判示して証券番号の特定を不要とした。
「(生命保険解約返戻金等を差押債権とする場合の)特定は,本来保険証券番号を特定することによって行うことが望ましいが,弁護士法23条の2に基づく照会にもかかわらず,第三債務者において保険証券番号を回答しないという場合にまで,保険証券番号の特定を求めることは相当とはいえない。このような観点から第三債務者において,多数の保険契約の類型や種類を通じてその契約年月日の先後を調査し特定することができるかを検討すると,@契約が古い順との記載がある場合には保険の種類を問わず全ての保険契約を調査対象として差押命令に対応すると回答する保険会社があること,A契約者の氏名,住所,生年月日及び性別のみを特定した23条照会に47社中43社が契約の有無等を回答していること,B複数の同旨発令例があり,これらに対して保険会社から不服申立手続が採られていないことから,これを肯定するべきである。解約返戻金請求権は将来債権であり差押の効果が及ぶ範囲の判断は差押時点においてせざるをえないが,これを理由に特定がないということはできない。」
保険解約返戻金等についてのこの問題は,上記東京高決を受けて,東京地裁の執行センターでも,証券番号を特定しなくとも差押命令を発するというように実務が変更されたようであり,今後その定着が待たれる。 |
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東京高裁平成22年9月8日決定 |
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⇒金融・商事判例1354号38頁 |
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⇒金融法務事情1913号92頁 |
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⇒消費者法ニュース86号287頁 |
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⇒判例タイムズ1337号271頁 |
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⇒判例時報2099号25頁 |
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⇒被害回復99頁 |
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東京高等裁判所平成22年12月7日決定 |
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⇒金融法務事情1913号101頁 |
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⇒判例タイムズ1339号209頁 |
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| 3 預金債権の時間的包括的執行(奈良地方裁判所平成21年3月5日決定) |
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預金債権の執行について,差押命令送達の日から3営業日の間に発生する(増加する)預金部分について包括的差押命令が発せられた事例
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預金債権の差押えは,差押命令が第三債務者である銀行に送達された一時点に存在する預金にしか及ばない態様で発令されるのが通例である。差押命令が午前11時に送達された場合には,午前10時に送金がされたものであっても10時30分に引き出されてしまえば差し押えられないし,11時10分に送金されても差押えの対象にはならない。そこで,預金口座から頻繁に出金手続を繰り返すことで,強制執行を免れ続けながら預金口座を使い続けることが可能となっており,預金差押手続が無力化し,預金という現在の最も一般的といって良い財産保有の形態について差押手続が機能しないという極めて懸念するべき事態が生じている。預金に対する差押手続のこのような機能不全は,預金口座を犯罪ツールとして利用する経済犯罪の被害回復を著しく困難なものとし,この種犯罪の蔓延の一因ともなっている。
「差押命令送達の時から一定期間(近時試みられたのは3営業日の間)に発生する(増加する)預金部分についての包括的差押命令」が可能となれば,この点の問題が解消され,預金執行の奏功可能性は飛躍的に高まるものと考えられた。そこで,流動性預金の法的性質などを論じて,この種の申立てを試みたことがある。
その結果,平成21年に立て続けに発令例が現われた(奈良地方裁判所平成21年3月5日決定,高松地方裁判所観音寺支部平成21年3月25日決定)。また,その後,仮差押としての発令例も見られるようになっている。
このような差押が許容されることとなれば,預金執行の奏功可能性は飛躍的に高まる。議論の高まりが期待されたが,東京高決平成20年11月7日金法1865号50頁・判タ1290号304頁は金融機関の煩瑣の問題を過大に取り上げて差押債権の「特定性」の問題に安易に堕としてしまっており,残念である。もっとも,特定の口座への入金を停止せずに出金のみを停止しつつ入金状況を自動的に監視し,一定の金額を超えた後は,その超える部分のみの出金を自動的に可能にする等の銀行のシステムが構築されたり(現在すでに構築されているものと考えられるがその点の議論を措くとして),差押命令に対応するために必要な時間は預金の出金が遅延することによる債務不履行責任を銀行が負わない旨の約款が整備されるなどにより,将来の預金の差押えが金融機関に不当に過大な負担を強いるものとはならないものと評価されるに至ることは十分に予測されるところであり,そのような場合に将来の預金債権の差押えの効力を否定する理由はない。同高決も「社会通念及び現在の銀行実務に照らすと」という前提を置いており,将来の状況の変化によってはこの種差押命令の申立でも差押債権の特定が認められ得ることを否定する趣旨ではないと考えられる。
本件のような申立は抽象的な理由で排斥されることが多いが,それは預金債権差押命令手続の実効性を裁判所が率先して奪うに等しく,民事執行手続が時代に即したものとして奏功可能性を高めていくことを不当に害することになるとの非難を向けざるを得ない。銀行から執行抗告がなされたときにはじめて,銀行に具体的主張立証をさせたうえで裁判所が判断するのが正しいありようであると思われる。
本件各決定例を契機として持続的に議論・工夫がなされることを期待したい。 |
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奈良地方裁判所平成21年3月5日決定 |
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⇒消費者法ニュース79号200頁・330頁 |
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⇒被害回復151頁 |
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高松地方裁判所観音寺支部平成21年3月25日決定 |
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⇒消費者法ニュース80号347頁 |
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⇒被害回復155頁 |
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PDF意見書 |
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東京高等裁判所平成20年11月7日決定 |
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⇒金融法務事情1865号50頁 |
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⇒判例タイムズ1290号304頁 |
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⇒判タ平成21年度主要民事判例 |
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| 4 弁護士会照会に対する報告義務(東京高等裁判所平成22年9月29日判決ほか) |
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弁護士法23条の2に基づく照会は郵便法上の義務や守秘義務に優越し,弁護士会の審査を経て濫用的照会を排除する制度的保障が設けられているから照会を受けた団体は特段の事情のない限り個別事情に関する事実等を調査することなく守秘義務と23条照会への報告義務との優劣を判断すれば足りると判示し,照会先に対して改めて照会に応じること,さらに,転居先情報に関して23条照会に応ずる態勢を組むことを要請した判決
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| 本判決は,23条照会の意義を高く評価し,これを郵便法上の義務や守秘義務に優越する旨明示し,「23条照会は弁護士会が所属弁護士の照会申出を審査した上で行うものであり,このように濫用的照会を排除する制度的保障が設けられている以上,23条照会を受けた被控訴人としては,弁護士会が濫用的照会でないことを前提として,特段の事情のない限り,当該照会に係る事案の個別事情に関する事実等を調査することなく,郵便法8条1項,2項,プライバシー,個人情報等に基づく守秘義務と23条報告義務との優劣を判断すれば足りるものと解される。」と判示し,「弁護士法23条の2は,個々の弁護士に所属弁護士会に対する照会申出の権限を与え,同弁護士会に照会の権限を与えている。したがって,本件においては,被控訴人が23条照会に対する報告を拒絶したことにより,東京弁護士会が,その権限の適正な行使を阻害されたことは明らかである。23条照会の適正な制度運用につき一定の責任ある立場に立つ東京弁護士会が,適正な権限行使を阻害されたことにつき,無形の損害を受けたと評価することもできる。」と判示した上,「補論」として,「この判決を契機として,本件照会に改めて応じて報告することを要請したい。また,さらに,新住所という転居先に記載された情報に関しては,本判決の意のあるところを汲み,23条照会に応ずる態勢を組むことを切に要請したいと考える。」と述べている。弁護士ないし弁護士会には,弁護士会照会の実効性を高める努力をすること,その前提としてその審査手続等の適正を徹底することが求められる。 |
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東京高等裁判所平成22年9月29日判決 |
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⇒判例時報2105号11頁 |
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⇒被害回復11頁 |
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⇒判例タイムズ1356号227頁 |
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⇒金融法務事情1936号106頁 |
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| 東京地方裁判所平成21年6月19日判決 |
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社会保険事務所は健康保険法施行規則第24条または厚生年金保険法施行規則第15条その他の関連法令に基づき,公共職業安定所は,雇用保険法施行規則6条その他の関連法令に基づき,それぞれ業者から被用者の住所の届出を受けているようである。個人情報の取扱についてはいろいろな考え方があるだろうが,詐欺商法業者の探知のために行政が有する情報は「正しく」利用されるべきであると考える。今までにいくつかの国賠を提起していずれも退けられているが,国が理由もないのに(個人情報保護との関係は既に法律上の手当がされているのであって理由にならないし,国もそれが理由であるとはいわない)調査嘱託に応じず,他の私の団体には調査嘱託に応じよなどというのはやはりおかしいと思う。
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東京地方裁判所平成21年6月19日判決 |
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⇒判例時報2058号75頁 |
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| 5 訴えの提起における当事者の特定・住所地の記載されていない債務名義の強制執行の方法等 |
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最後の住所地が不明である当事者について特定を欠くとして訴えを却下した判決・訴えを却下した決定を取り消した高裁の判決・決定
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住居所が不明である場合には公示送達によるしかない。最後の住所地が判明する場合にはその表示をすれば当事者の特定に欠けるとされることはないが,最後の住所地も判明しない場合(詐欺商法事案ではそのような場合がほとんどである)には当事者の表示欄には「住居所不明,最後の就業場所○○,氏名」という記載をしたうえ,請求の原因欄等をも併せてみれば当事者が特定されているといい得れば足りる(実質的表示説)。東京高判平成21年12月25日は被告の特定がされていないという不適法を補正することができないとして訴えを却下した原判決を取消して事件を原審に差し戻したものであり,訴状を却下した原命令を取り消した東京高決平成22年8月10日と併せてこの種手続的混乱の早期解消に資するものと思われる。
なお,このようにして得た債務名義に基づく強制執行には,なお,複雑な問題がある。 |
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東京高等裁判所平成21年12月25日判決 |
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⇒先物取引被害裁判例集58巻167頁 |
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⇒判例タイムズ1329号263頁 |
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⇒被害回復36頁 |
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東京高等裁判所平成22年8月10日決定 |
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⇒証券取引被害判例セレクト38巻248頁 |
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⇒被害回復67頁 |
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| 東京地方裁判所平成23年11月21日判決 |
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訴状等の公示送達による送達を経て,被告の最後の住所地が不明である判決がなされた場合であって,後に被告の住所地が判明した場合に,如何にして判決と強制執行手続を連結させるべきかという,これまで正面から議論されてこなかった論点に関するもの。
このような場合には,執行裁判所が債務名義に記載された被告と強制執行手続における債務者の同一性を判断して強制執行手続の許否を決する,本案裁判所が判決に記載された被告と後に住所地が判明した被告の同一性を判断してこれが肯定される場合には更正決定をする,本案裁判所が判決に記載された被告と後に住所地が判明した被告の同一性を判断してこれが肯定される場合には新たに判明した住所地を付記した執行文を付与するが,その手続を執行文付与の申立てによってする,本案裁判所が判決に記載された被告と後に住所地が判明した被告の同一性を判断してこれが肯定される場合には新たに判明した住所地を付記した執行文を付与するが,その手続を執行文付与の訴えによってする,新たに住所地が判明した者に対する新たな訴えの提起による,という5つの方法(のいずれか1つまたは複数の方法が選択的に採りうるものとされること)が考えられるのではないかと思われるが,私見としては,執行文付与の訴えと,新たな給付の訴えが認められるべきものであると考える。
金銭請求と執行文の付与を選択的に求めたのに対して,本判決は,(判決書の理由は簡潔なもので,確定判決があるのに重ねて給付判決を求めることに訴えの利益があるのかという問題があり得ることについてどのような検討がなされたのかは必ずしも判然としないものの),結論として,このような場合に給付判決を求める利益を肯定したものであることは明らかであり,実務的には非常に興味深いものと感じられる。
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集64巻439頁 |
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⇒消費者法ニュース91号336頁 |
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| 6 金融商品取引業者と取引履歴の開示(東京地方裁判所平成20年9月12日決定ほか) |
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金融商品取引(まがい取引)業者に対して,取引履歴を開示することを命じた間接強制決定例
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高齢者から私募ファンドへの投資金名下に金銭を騙取する業者に対して,取引履歴の開示を求める本案訴訟を提起し,業者が請求を認諾するに至った。しかしその後も任意の開示はなく,直ちに間接強制の申立を行った。執行裁判所には開示書類の趣旨であると強弁するものとして不十分な書類が送付されるなどした。損害の算定について,いわゆる「被害金額」の消滅時効期間との比率で算定するという考え方についての意見を裁判所から求められたのに対して,「裁判所は,一応損害額を考慮に入れつつも,債務の目的や性質その他の事情を考慮して,予測される損害賠償額に拘束されることなくその裁量により債務の履行を確保するため相当と認められる金額の支払を命じうるのであり,かつ,そのような観点から支払を命じる金額を決定するべきであり,本件事案において開示請求権の間接強制のための損害金を開示請求に係る取引金額に直接的に関連させて検討することは適切でない」旨の意見書を提出するなどし,本決定を得た。
結果,被害者1人あたり1日あたり15万円の損害金が認められた。金融商品会社(まがい会社を含む)に対する取引履歴等の開示に関する間接強制決定は今までないのではないかと思われ,1日15万円(3人で45万円)という違約金も正当な理由なく取引の内容や金銭授受の履歴を開示しない業者に対して開示をさせる相当の動機となりうるものと評価する。 |
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(業者執行抗告) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻154頁 |
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⇒消費者法ニュース77号176頁,同号262頁 |
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(執行抗告審決定。抗告棄却,東京高等裁判所平成20年10月2日決定,確定) |
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⇒証券取引被害判例セレクト32巻157頁 |
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| 東京地方裁判所平成22年7月2日判決 |
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海外先物取引業者に対して取引履歴の開示及び取引履歴の不開示に基づく慰謝料の支払を命じた事例
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判示内容は簡潔であるが,法律構成には興味深いものがある。
「被告は,原告に対し,本件取引の終了に伴い,受託した事務に係る経過及び結果を遅滞なく報告すべき義務を負うものと解すべきであるし(商法552条2項,民法645条),報告すべき事項の内容からすれば,その報告は書面によることが相当と認められる」
「被告が原告の請求に対して報告を拒み続けていることに正当な理由があるものとは解されず,そうだとすれば,かかる被告の対応は原告に対する不法行為を構成するものと解されるところ,これによる原告の損害を金銭評価すると10万円を下らないものと解される」
取引履歴を開示しない業者に対しては本件同種訴訟を提起したうえで間接強制決定を得ることにより,早期に被害回復を見ることができることもある(上記東京地決平成20年9月12日参照)。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集60巻49頁 |
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| 7 詐欺的取引と裁判管轄(移送の可否)(東京高等裁判所平成23年6月1日決定) |
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東京地裁に提起した,東京に支店を置いていた詐欺的商法業者に対する損害賠償請求について,業者らが営業を廃止して関係者は現在は福岡にいるなどとして福岡地裁に移送することを求めたところ,原決定は電話勧誘などは不法行為の準備行為にすぎないから東京地裁には土地管轄がなく,衡平の観点からも福岡地裁で審理するのが相当であるとして事件を福岡地裁に移送するとの決定をした。
これに対して即時抗告審は,約款記載の専属的管轄合意を認めず,電話での勧誘を含む一連の行為が不法行為を構成することがありうるから東京支店所在地は不法行為地である,犯罪的な取引行為によって独居老人に多大な損害を与えた可能性があることは管轄裁判所を決定する上でも斟酌されるべきであり,当事者の衡平の観点からも事件を東京地裁から福岡地裁に移送する必要はないとして原決定を取消して業者らの移送申立を却下した。
東京で高齢者に対して詐欺商法を行ったが現在は引き払って福岡にいるから裁判をするなら福岡に来いというような申立を退けるべきことは,衡平の観点から当たり前のことである。 |
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(即時抗告審決定。原決定取消,確定) |
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⇒金融・商事判例金判SUPPLEMENTVol.33 |
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⇒先物取引裁判例集63巻161頁 |
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⇒消費者法ニュース89号172頁 |
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(原決定。被害者即時抗告) |
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⇒先物取引裁判例集63巻151頁 |
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| 8 詐害行為取消訴訟(山形地方裁判所平成19年3月9日判決) |
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外国為替証拠金取引業者の代表者の所有不動産について詐害行為(根抵当権の設定)がされていたのを取り消した事例
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外国為替証拠金取引業者らに対して損害賠償請求債権(確定判決)があり,これに基づいて同代表者が山形の不動産を相続していたので強制競売の申立を行った。同不動産には平成17年9月9日に実兄に根抵当権設定登記がされており,強制競売手続において1600万円の貸金があるとの届出がなされ,裁判所から取下の打診がなされた。損害賠償請求の提起日は平成17年5月9日であり,集中証拠調期日は同年11月18日であったから,上記根抵当権設定当時には既に損害賠償債務を認識していたのに,あえて(虚偽であるとも疑われる)借金をしたとして根抵当権を設定したのであって詐害行為であると主張して詐害行為取消訴訟を提起し,併せて強制執行手続については同取消訴訟の結論が出るまで保留してもらうこととした。
判決は根抵当権設定契約時に損害賠償請求権を認識していた,同人に見るべき資産はなかった(株式を保有していたなどというが信用できない),極度額を1600万円ではなく3000万円としたことも代表者とその兄との強い結びつきを推認させる,1600万円の貸付自体が疑わしい,会社の資金繰りのために必要だなどと言われた兄が善意であるとは到底認められない,として詐害行為取消を認めた。
同判決の確定を受けて強制競売申立事件が再開し,長期間を要したものの(土地の上に親族の建物がちょっと乗っていた),競落された。 |
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(確定) |
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⇒先物取引裁判例集52巻1頁 |
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